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「福岡のために尽くすのは当然」 明太子の老舗「ふくや」が示す真の地域貢献

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月20日 7時10分

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「明太子が売れるのは、福岡のイメージがいいからだ」と川原社長(提供:ふくや)

 「私もぐっときましたし、当時関わった人たちは皆、感極まったみたいですね。わずか10年でこんな未来があるのだと」

 2023年11月4日、東京・国立競技場で行われた「JリーグYBCルヴァンカップ」決勝。アビスパ福岡が2対1で浦和レッズを下し、初優勝を決めた。福岡市の食品メーカー・ふくやの川原武浩社長は目を細めてこう回想する。

 アビスパ福岡はかつて窮地に立たされていた。そこに救いの手を差し伸べたのが、ふくやだった。

 2013年ごろから運営会社の資金繰りが厳しくなり、消滅の危機にさらされていた。しかし、個人や法人からの小口協賛金に加え、ふくやによる支援などによって持ち直した。

 「当時はつぶれなければ、もうJ2でもJ3でもいいよといった雰囲気でしたから。でも何とかアビスパは生き残り、ルヴァンカップで優勝して……。あそこでつぶれていたらそんな未来もなかった。あの時にやってよかったなと思いましたね」

 支援は工夫を凝らし、ただ単に資金提供することだけは避けた。

 「お金を出せば一息つき、すぐにはつぶれないでしょう。アビスパはずっとそうやってお金をもらって生き延びてきたんですけど、結局何も変わらなかった。だからいろいろな人を巻き込んで、自分ごとにしてもらうことが大切だと思いました。商品にして皆さんに買っていただき、それを全部寄付する。結果としては同じなのですが、周りの人たちに関わってもらうためにどうすればいいかを考えたわけです」

 ふくやは「アビスパ福岡支援商品」を販売し、売り上げを全額アビスパに寄付。約1776万円が集まった。クラブチームが存続したことで、14年にはアパマンショップホールディングスからの出資を受けることもできた。「関わり合いを増やした分だけ、いろいろな人の目に付きやすくなりました。遠回りだったけどやって良かった」と川原社長は喜びをかみしめる。

 ふくやの社是とも言える、地元を守りたいという思い、そして地域貢献。これはコロナ禍でも当たり前のように遂行された。

●お見舞金など、地元飲食店を自ら支援

 前編で述べたように、コロナ禍でふくやは苦しみ、ディフェンシブな経営に徹した。ただ、それ以上に近隣の飲食店は瀕死の痛手を負った。しばらく営業できない状況が続いた店に対し、ふくやは独自の支援をしたのである。

 「業務用の食材卸でお付き合いがある飲食店はかなりきつい状況でした。後の方になれば国から休業給付金などが出ましたが、20年4月、5月ごろは本当に何もありませんでした。このままでは厳しいなと思い、お見舞金を送りました。それと飲食店の応援に使える券をわれわれで販売しました。通常のプレミアム商品券は国や県でやってくれましたけど、それとは別に自社で負担して、飲食店で使えるチケットを発行したりはしましたね」

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