これからのエンジン開発、どうなる?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 8時22分
さて、CNFといってもいろいろあるが、例えば国内で販売するものに関しては、JISの規格でガソリン相当またはディーゼル相当の燃料でなければ販売できない。JISの規格上同じ製品なので、基本的には混ぜても問題ない。配管の一部に配慮が必要だが、新車製造時のコスト差をエンジニアにこっそり聞いたところ概ね1万円程度と言っていたので、保有車のレトロフィットも含め不可能な話ではない。
CNFにはいろいろな種類があるが、最も現実的なのはバイオエタノールである。すでにブラジルでは普通にスタンドで売られている。値段もガソリンとさほど変わらない。というかリッター当たり単価でいえばむしろガソリンより安いことが多い。ブラジルでクルマを売っている世界中の自動車メーカーはすでに全ての新車について、ガソリンでもバイオエタノールでも対応可能なフレックスフューエル化している。ガソリン100%でもバイオエタノール100%でも走れるだけでなく、給油の都合で注ぎ足しで混ぜても使用可能だ。
そしてブラジル政府は、バイオエタノールを国内需要の6倍まで増産可能といっている。バイオエタノールとはつまりアルコールなので、酒の原材料になるものなら何からでも作れる。暑いブラジルではサトウキビから作るが、日本の北海道なら甜菜(砂糖大根)から作ればいい。食用ではないから美観を気にする必要がない。虫食いもOKなら曲がりも傷もOK。機械化農業で雑に作れる可能性があり農業振興にもつながる。
もちろんマルチパスウェイはここでも効いてくる。病害などのリスクを考えれば材料となる作物は多様化すべきだ。トウモロコシや小麦、米、といったポピュラーな穀物以外にも、キビやアワなどの雑穀、もっといえば、建築廃材や食品廃棄物、家畜の糞尿、下水の汚泥など、腐る(発酵する)ものならなんでも材料になる。それぞれが適地で作ればいい。さらにいえば再生可能エネルギー由来の水素から作るe-FUELという選択肢もあるだろう。これはまた適地の話があるのだが何度か書いているし長くなるので割愛する。
●内燃機関の未来
さて、そうしてCNF時代の内燃機関という話になれば、開発すべきエンジンはおそらく2種類ある。まずは発電用エンジンである。日産のe-POWERや、マツダのロータリーEVは、発電用エンジンと発電機を動力源として、駆動は100%モーターである。こうしたシリーズハイブリッド用の発電専用エンジンには今後大きな進歩が期待できる。
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