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生成AI、那覇市はどう活用? 職員も思いつかなかった、AIが提案したアイデアとは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月5日 7時30分

 「情報の正確性」に関わる課題については、運用でカバーした。ガイドラインの中に「生成物の取扱における順守事項」という項目を設置。内容については根拠や裏付けを必ず確認することや、市が説明責任を負うことを踏まえて意思決定することなどが盛り込んでいる。

 導入までには約半年を要した。2023年5月に、生成AI活用についての庁内検討チームの立ち上げに市長が言及し、6月に検証部会を設置。8~9月には検証利用を開始、10月に結果を取りまとめた上で、前述のように11月には活用方針とガイドラインを策定し、12月から運用を開始した。

●行政が先端技術を活用する意義

 那覇市は同性カップルのパートナーシップ制度を全国的にも早期に導入するなど、先進的な取り組みを積極的に行ってきた。那覇市が生成AIの活用方針やガイドラインを示し、沖縄県内の先行事例として取り組んだことで、近隣自治体が先端技術を活用する契機にもなり得る。

 那覇市DX推進室の又吉盛斗室長は「行政として先端技術を活用することには、しっかりとした理由があります」と言い切る。

 「生成AIなどの先端技術の活用が一般に浸透していく中で、市民のニーズは刻々と変化しています。行政としてもこれらの変化をしっかりキャッチして、よりよいサービス提供に積極的につなげなければいけません。また、先端技術の活用が課題解決や業務効率向上につながることが期待されている中、これらの技術を行政が活用しないことは、説明がつかないと考えています」

 また「新しいことにチャレンジすること」それ自体にも大きな意味があると又吉室長は語る。「組織としての足腰強化にもつながります。新しく取り組む過程で、課題を解決する力や思考力を深めることで、職員の能力向上にもつながります。数年前のコロナ禍の時のような課題が出た時に、日頃から養っている足腰の強さが生きてくるはずです」

 那覇市役所は2024年度、メタバース(ネット上の仮想空間)活用の実現性を模索しようと調査研究や情報収集を進めている。

 又吉室長は「自治体での事例として、引きこもりの子どもたちの居場所作り、遠隔地からでも楽しめるメタバース上での観光などで活用されている傾向があります。住民票取得などの手続きが行える『メタバース役所』に実証的に取り組んでいる自治体も出てきています。市民に『時間を還元する』という視点を持ちつつ、市民サービスを叶えるためにメタバースがどのように活用できるのか、検討していきたいです」と話す。

 どのような行政の未来を見せてくれるのか、まさに職員の「足腰の強化」に期待が高まっている。

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