カビ騒動で「株価30%超下落」から半年……ベースフードはなぜ今“急成長”しているのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月29日 7時55分
●それでも市場の評価は厳しい?
しかし、市場の評価は依然として厳しい。ベースフードの株価は2023年11月の時点でただでさえ騒動を受けて30%下落し、460円台で推移していたが、直近では底値を割れてさらに20%近く下落しており、現在は374円で推移している。
その背景には、ベースフード社の苦しい財務状況があるかもしれない。目覚ましい成長とは裏腹に、2024年2月期の純資産は前年比48%減少し、8億4200万円となった。それに伴い、自己資本比率は25.7%と、前年の45.4%から大幅に低下している。有利子負債は24年2月時点で5億円に達しており、有利子負債比率は59.38%に上昇している。
日銀の金融緩和正常化に伴い、足元でも借入金利などの高騰も予想されている中、借入金に依存した財務体質では返済コストも上昇してしまう可能性がある。さらに、有利子負債比率がこのまま上がっていくと、増資による株式の希薄化、値下がりリスクも高まることが市場からイマイチ評価されていない理由とも考えられる。
ベースフードのように、業績が好調に推移しつつも、依然として財務的な課題がある企業には、より戦略的な解決策が求められる。1つのアプローチとしては、広告宣伝費などの新規獲得投資と、黒字化のバランスをとり、より筋肉質な財務状況を作ることなどが挙げられる。また、増資のような株式の希薄化を伴わない、デット・エクイティ・スワップ(債務を株式に転換する)タイプの”借り換え”施策や資本増強を通じて、自己資本比率を改善することも有効だろう。
カビ騒動を乗り越え、成長を続けるベースフード。復活の道を遂げるには、さらなる品質向上とブランドの信頼回復、そして、財務状況の改善も欠かせない。
(古田拓也 カンバンクラウドCEO)
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