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「PayPayのおかげ」? 鹿児島で拡大中「Payどん」の差別化戦略

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月28日 9時50分

「PayPayのおかげ」? 鹿児島で拡大中「Payどん」の差別化戦略

鹿児島で「Payどん」が増えている

 鹿児島県内で、独自のQR決済「Payどん」の存在感が高まっている。鹿児島銀行が主導し、県内の他3つの金融機関も参画。アプリへのチャージのほか、4行庫の口座から直接支払えるのが特徴だ。

 QR決済サービスといえば、大量の資金を投下してキャンペーンを実施し、ユーザー・加盟店ともに拡大していくのが“勝ち筋”のようだが、地方の金融機関にそうした資金力の確保は難しい。何を強みとし、拡大を進めてきたのか。鹿児島銀行の徳留直人氏(経営企画部 デジタル戦略室 調査役)、西出涼平氏(デジタル統括部 地域DX推進グループ)に話を聞いた。

●県内4行庫で協業する「Payどん」、その戦略

 Payどんのサービス開始は2019年5月。立ち上げ時には、商業施設「よかど鹿児島」内でのみ利用可能だった。同行の新本店ビル内に設けられたこの施設は、現金は利用不可。Payどんを含むQR決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済のみ取り扱う実証実験の場として立ち上がった。テナント企業からは、現金を扱わない分閉店後のレジ締めの時間が短縮されることなど、好意的な声が多かったという。

 大手の決済サービスの普及が進む中、事業者を口説くカギは銀行ならではの入金サイクルの速さだ。売上の入金は翌営業日か、月1回、2回の3パターンから選べる。特に小規模事業者には魅力的に映った。

 事業者を口説くもう1つのカギは決済手数料だ。当初から一律1.5%としており、今後も引き上げの予定はないと断言する。PayPayが資金を投じて決済手数料を無料として利用店舗を拡大し、サービス開始から3年にあたる2021年10月に1.6%または1.98%に引き上げたのとは対象的な戦略だ。Payどんの1.5%の手数料のうち、0.5%分はユーザーに還元している。200円当たり1ポイントを付与する仕組みだ。

 手数料、入金サイクル、そして地方銀行としてのネットワークを生かし、加盟店の開拓については計画を上回っていた一方で、当初のユーザー数は伸び悩んでいた。

 大手のQR決済は100億円など多額のポイントバックのキャンペーンを打ち出すことでユーザーへの普及を図ったが、「われわれはそんなに資金力があるわけではありません」(徳留氏)。転機はコロナ禍に訪れた。消費の落ち込みに対応するために自治体が開始した地域振興券目当てのほか、非接触の決済手段への注目の高まりもあり、ユーザー数は右肩上がりで増加。直近では決済額がおよそ6億円で推移するまでに成長した。

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