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ラーメン業界の革命児「一蘭」幹部に聞く 最高益をたたき出した「3つの要因」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月6日 11時25分

 2つ目は物販が好調であること。コロナ禍で仕込んだ取り組みが花開いた形となった。その代表例がカップ麺「一蘭 とんこつ」。コロナ禍で外食が難しい中、自宅でも一蘭の味が食べられるようにと、2021年2月に発売。現在までに1000万食以上を売り上げる。通販だけでなく店舗で土産として購入する客も多いそうだ。

 実は、この商品は構想から発売まで数年かかっている。

 「いろいろなラーメン店がメーカーとコラボしてカップ麺を出していますが、われわれはコンビニからの打診を何度もお断りしました。研究開発に時間をかけ、相当こだわって自社で作りました」

 最終的に具のないラーメンが誕生。それでいて価格は約500円ということで話題を呼んだ。ただ、その強気の理由は味に絶対的な自信があるからだ。オリジナルの麺とスープに加えて、最大の売りは赤色の「秘伝のたれ」。これは社内でも4人しかレシピを知らないという門外不出の調味料。これも商品に組み込んだ。

 なお、物販については、家庭用の即席ラーメンなどを以前から販売しており、海外にも積極的に販路を広げている。例えば、豚肉を忌避するイスラム教徒が9割を占めるインドネシアでは「100%とんこつ不使用ラーメン」が人気を博している。こうした海外での物販も同社の売り上げを下支えしている。

●「密にならない」と話題に

 最後は、期せずして効果を発揮した店舗のシステムだ。具体的には「味集中カウンター」である。いわゆる自習室のように、客のテーブルの左右に仕切り板があって、周囲の目が気にならないプライベート空間になった席のこと。これは一蘭の店の名物としてよく知られている。

 この独自のシステムが、コロナ禍では「密にならない」として注目を集めた。「一蘭=安心な店」という認識が消費者に広まり、特にロードサイドの店はコロナ禍の真っただ中でもファミリー層が数多く訪れた。繁華街の店舗が苦しむ中でも、これらの店舗では売り上げを大きく落とすことがなかったという。

 余談だが、この味集中カウンターは女性客を増やす要因にもなっている。同社によると、一般的なラーメン店における女性客の割合は15%ほどであるのに対し、一蘭は40%に迫る。人目を気にせずにお代わりできる点などが支持されているのだという。

●東南アジア市場などの開拓に注力

 過去最高を更新した一蘭。さらなる売り上げアップに向けて何に取り組むのか。

 コロナ禍が明けた今、海外への周知をさらに拡大する計画だ。現在は米国に3店舗、香港に3店舗、台湾に2店舗を構えている。新たに周知を狙うエリアとして、マレーシアやインドネシアといった東南アジアを見据える。

 「また、物販に関してはオーストラリアやカナダなど(欧米圏)にも既に広がっています。今後も引き続き強化して、ラーメン文化を伝えていきたいです」

 取材した日の夜11時ごろ、再び総本店の前を通りかかった。暗がりの中でも20人ほどが列をなしていた。若い外国人もいた。この熱気を見るに、まだまだ一蘭の好調ぶりが止まることはないだろう。

(フリーランス記者 伏見学)

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