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「Webでランドセルを買った顧客」に保険を案内――じわじわ広がる、組み込み型保険の実態

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月5日 7時25分

「Webでランドセルを買った顧客」に保険を案内――じわじわ広がる、組み込み型保険の実態

リードインクス代表取締役社長の柏岡潤氏

 インターネットの普及から、はや30年。言わずもがなさまざまなシーンでデジタル化が進み、人々の行動を変えている。しかし、業界によってその進度はまちまちだ。

 デジタル化に苦心する業界の一つに、保険業界がある。セキュリティの重要性や固定化された商習慣から、デジタル化に慎重な傾向だ。

 結果として、生命保険では営業職員123万人が対面で営業、損害保険でも保険募集の従事者が185万人と、人海戦術の側面がぬぐえない(それぞれ生命保険協会「2023年版生命保険の動向」、損害保険協会「2022年度損害保険代理店統計」より)。オンライン保険やWeb相談の普及も進んではいるものの、現在も対面での営業、紙書類での申し込みが主流だ。

 そんな中、今後成長が見込まれる領域に「組み込み型保険」(エンベデッド・インシュアランス)がある。オンライン上で商品やサービスの注文と同時に契約できる保険で、欧米や中国を中心に開発が進み、日本にもその波が訪れつつある。

 ソフトバンクグループ傘下で組み込み型保険のシステムを提供するリードインクス代表取締役社長の柏岡潤氏は「『保険は人から買わなきゃいけない』という先入観を払しょくしたい」と語る。

●「ランドセルを買った顧客」に保険提案、どんな可能性がある?

 組み込み型保険のメリットの一つは、すでにある顧客接点を活用できることだと柏岡社長は説明する。

 「例えば、ランドセルを買ったお客さんがいたとします。小学校に入学するお子さんがいると考えると、他の商品も併せて売れる可能性がありますよね。店頭であれば、保険にも興味があるか聞くことでクロスセルができますが、オンラインだとそれが難しい。そういったシーンで、オンライン上でも『学資保険のニーズはありますか』と案内できるというのがエンベデッド・インシュアランスの強みです。

 この考えは昔からあるもので、旅行代理店で旅行を買う方に旅行保険を提案する、カーディーラーで車を買う方に自動車保険を提案する――という提案方法と同じく、商品を買うときに発生するリスクに対し、保険をセットで販売するという方法です」

 こうした仕組みが求められる背景には、消費者の行動の変化がある。若い世代であればあるほど「対面で保険を売りに来られるのがイヤだ」と感じる人は多い。また、オフィスの休憩室などに入れてもらい、販売する手法も年々難しくなっている。高い買い物でも、店頭ではなくWebで契約することが増えた。

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