取引先ごとに“バーチャル口座”を用意──請求書管理「Bill One」が、銀行サービスを始めるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 6時25分
今回のBill One発行では、Sansanがまるで自社で銀行サービスを提供しているかのように、システムから顧客にバーチャル口座を割り当てられるところが画期的だ。
これを実現するのが、住信SBIネット銀行のBaaSプラットフォーム「NEOBANK」だ。NEOBANKは、APIを介して銀行システムの機能を法人パートナーに提供するサービス。パートナー企業は、NEOBANKのAPIを活用して、自社ブランドの銀行サービスを立ち上げることができる。
複数のネット銀行がBaaSサービスの提供を始めているが、住信SBIネット銀行は提供企業数でトップを走り、BaaS口座数は158万口座に達している。大西氏は住信SBIネット銀行を選択した理由として「実現したかったことと、実現までのスピードを考えると、ベストだった」と話す。今回の入金用法人バーチャル口座も、Bill One発行のために住信SBIネット銀行が新たにAPIとして開発した機能だという。
住信SBIネット銀行にとっても、法人向けBaaSは新たな取り組みだ。同行はこれまで、個人向け口座のBaaS領域に注力してきた。しかし「次の成長領域は法人分野だ」(住信SBIネット銀執行役員 兼 BaaS事業本部本部長の前田洋海氏)と判断。法人向けBaaSのマーケットに参入することを決めた。
「法人取引は個人向けと比べて収益性が高い。また、大企業の取引先に対して、大企業のブランドを冠した銀行サービスを提供することで、取引先にもメリットのある優遇サービスも実現できる可能性がある」(前田氏)
SansanにとってBill One Bankはあくまで入金消込の手段の一つでしかない。「銀行機能を提供することを主眼に置いたというより、消込がソリューションとして成り立つ方法を考えた」と寺田氏は言う。
一方で住信SBIネット銀行にとっては、注力領域の一つである法人口座獲得に資する取り組みだ。「入金消込を使ってもらえば、決済データを使ったトランザクションレンディングなど、いろいろな付帯取引につながっていく。結果的に、メインバンクとして食い込むきっかけの一つにしたい」(前田氏)
住信SBIネット銀行は、SansanのようなSaaS企業だけでなく、インフラ企業などさまざまな業界の企業とのパートナーシップを想定している。すでに別の法人向けBaaSのプロジェクトが動き始めており、この分野のトップランナーとして、新たな市場の開拓を進める考えだ。
この記事に関連するニュース
-
ミスは許されない──経理の7割が「入金消込に課題」 効率化進まぬ実態は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月28日 8時0分
-
ヤマダデンキ、JR東、高島屋も……各社が急速に「銀行サービス」を開始したワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月5日 8時0分
-
住信SBIネット銀行×旭化成ホームズ・旭化成ホームズフィナンシャルが提供するフルバンキングサービス「ヘーベルNEOBANK」を6月3日(月)から提供開始
PR TIMES / 2024年6月3日 17時45分
-
「ヘーベルNEOBANK」を6月3日(月)から提供開始
PR TIMES / 2024年6月3日 17時15分
-
住信SBIネット銀行×旭化成ホームズ・旭化成ホームズフィナンシャルが提供するフルバンキングサービス「ヘーベルNEOBANK」を6月3日(月)から提供開始
Digital PR Platform / 2024年6月3日 16時3分
ランキング
-
1ソニー宮城拠点、250人削減=ブルーレイ、生産縮小
時事通信 / 2024年6月29日 15時49分
-
2「クレカタッチ」は交通系ICカードを駆逐するのか 熊本で「全国相互利用」離脱、一方で逆の動きも
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 7時30分
-
3「押しボタン式信号」なぜ“押してすぐ青”にならないケースが? 納得の理由があった!
乗りものニュース / 2024年6月29日 16時42分
-
4作文は「理系だと苦手」「文系が得意」という大誤解 算数が得意な子は大概「作文もうまい」納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 10時0分
-
5池袋西武とヨドバシ「売り場折半」の波紋と懐事情 北側にヨドバシ出店、西武の集客力に影響は?
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 10時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)