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日本は「デジタル小作人」のままでいいのか 海外クラウド“高依存”の不安

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月24日 5時10分

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日本は「デジタル小作人」のままなのか

 「デジタル赤字」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 三菱総合研究所によれば、「日本銀行のレポートを参考に、国際収支統計からデジタル関連収支を計算すると、23年のデジタル関連収支は5.5兆円の赤字となった。23年はインバウンドの回復により旅行収支が3.4兆円の黒字となったが、デジタル赤字がそれを上回った」という。

 つまり、観光などで外国人が日本で落とすお金以上に、日本が外国のデジタルサービスなどに使うお金が多いということだ。実は、デジタル赤字は何年も前から起きているが、近年は赤字がどんどん増加している。それだけ日本人の富が流出していることになる。

 とはいえ、この流れはもう誰にも止めることができないのが現実だ。

 この状況について三菱総研は「デジタル赤字の拡大は、日本がデジタルサービスの利用を進めた結果であり、必ずしも悪いことではない」とも指摘しているが、筆者としてはそこまで楽観できないと感じている。デジタル赤字がさらに進んだ日本には何が待ち受けているのだろうか。

 まず、デジタル赤字について詳しく見ていきたい。そもそも日本から流出しているデジタル関連の支払いにはどんなものがあるのか。例えば、コンピュータの基幹ソフトやアプリなどの利用料、クラウドサービスの利用料、システムやソフトウェアの開発費などがある。

 さらに映像配信サービスやゲームソフトのサブスク料金に加え、課金などそのほかの契約料もある。個人でも、最近では映像配信サービスの選択肢が増え、NetflixやAmazonプライムビデオ、Disney+、Hulu、DAZNなど、契約するサービスが増えてしまっている人は少なくないだろう。さらに、海外のメディアを利用する際にもサブスクなど利用料を払うのが当たり前になっているし、SNSなどの利用料に加えて、広告費なども含まれてくる。こうした契約料の多くは海外に流出することになる。

●多くの企業が利用する米国製クラウド

 これらの支出の中でも、大きな割合を占めているのが、クラウドサービスなどの利用料だ。身近なところでいえば、iPhoneひとつとっても、撮影した写真はアップルが提供するクラウドにどんどん保存されていく。契約時は5GBのストレージを無料で提供してくれるが、写真や動画などが増えていけば、あっという間に容量が足りなくなる。

 まめにiPhoneから写真を移動させたり削除したりすれば5GBでも賄えるかもしれないが、スマホカメラの進化でより高画質な写真を撮影できたり、動画のクオリティーも上がったりして、必要なストレージも大きくなっていく。Androidのスマホも同じで、Googleドライブなどのクラウドに15GBのファイルをバックアップできるが、足りなくなることもある。そうなれば、追加のストレージを購入することになって料金が高くなり、それだけお金が海外に流れていくというわけだ。

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