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レジの「立ちっぱなし問題」どうする? 欧州では「座る」スーパーも 効率と働く人の満足度を考える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月27日 6時30分

レジの「立ちっぱなし問題」どうする? 欧州では「座る」スーパーも 効率と働く人の満足度を考える

「立ち」のほうが効率的だが……(出所:ゲッティイメージズ)

 人手不足が続く小売り・サービス業。人を増やしたくてもなかなか採用できない状況が続いており、その原因の一つとして「立ちっぱなし問題」が挙げられます。小売業やサービス業の多くは従業員が立ちっぱなしで、身体にも負担が大きく「できれば選びたくない職種」といわれることもあります。

 こうした課題を解消するため、従業員が座って接客できるようにする「座ってイイッスPROJECT」がスタートしています。今回は同プロジェクトの内容を追いながら、これからのレジ接客のあり方や小売業での働き方について考えてみましょう。

 消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ代表の岩崎剛幸が分析していきます。

●欧州でよく目にする「座りレジ」

 かつて筆者は『「セルフレジにキレる老人」問題どうする? 模索続く大手企業 要注目の「スローレジ」とは』という記事を執筆しました。

 セルフレジやセミセルフレジが増え、レジの待機時間が短くなることで、ストレスが減る消費者がいます。その一方で、セルフレジの利用方法が分からず、戸惑う消費者も増えています。その一つの対策として、上記の記事では「スローレジ」を提案しました。

 これはオランダのスーパーマーケット「Jumbo(ジャンボ)」が始めたサービスです。オランダ政府の活動「ワンアゲインストロンリネス(孤独を救うための運動)」の一環として、オランダにあるジャンボ店舗で2019年にスタートしました。

 「Kletskassa(チャットレジ)」という袋詰めする時間をあえて遅くして、その間お客さんと会話を楽しむ特殊なレジを設置したところ、大きな反響がありました。そのため、同社は全国の他の店舗にも拡大。この取り組みをさらに進めて、既存のレジの中から1台にベテランの店員をあてがい、支払いなどに手間取る高齢者がレジスタッフと会話しながら精算できるように工夫したのです。これがスローレジです。

 ジャンボの公式Webサイトを見ると、店員が椅子に座って接客しているのが分かります。オランダ以外にも、ドイツや英国など欧州各国では、大型スーパーやディスカウントストアでレジスタッフが座ったまま接客している光景を見かけます。例えばドイツ発で世界第9位の小売業・ディスカウントストアのALDIでは、基本的にレジは「座り」です。

 一方、米国でも座りレジを導入している店舗はありますが、2023年に私が米国で視察した小売店では業種を超えて立ちレジが多く、ヨーロッパとは様相が異なっているように感じました。

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