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なぜ、会社員として働くのか? キャリア自律からワケを考える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 8時0分

 現実はいろいろ大変なこともありそうだし、自分のスキルに自信もない。そして毎月給与が入ることはやはり安心だ。会社員万歳は言い過ぎかもしれないが、あらためて今の境遇を振り返り、「今自分がここにいる理由」を明確にすることは意義がある。

 会社勤めしていると「なぜ今、この組織に所属しているのか」を言語化する機会はあまりない。逆に組織から離れる理由は、会社がさまざまに変化していくなかでたくさん出てくる。あえて「あなたが今の組織に居る理由」を考えてみよう。自分の満足ポイントが分かるだけで、自身のキャリアへの安心感が得られ、働くうえで大事にしたいことが明確になる。

 組織に所属する意味を考える上で、留意しておきたい点がある。組織に所属する理由として「安定性に満足していると確かに文句がない場合が多いが、安定性が面白さを上回っていると、組織が停滞する可能性を秘めている」という点だ。

 なぜなら、「安定≒変わりたくない、変えたくない」の作用が強く働きがちになり、これが経年で積み重なっていくと、いつの間にか、変わらない・変えられない腰の重い組織になっていく。

 そうした組織にいることで起こる個人へのデメリットは実は結構ある。例えば、創意工夫が減ることによる創造性や効率化の欠如とモチベーションの低下、ネットワークや視野が狭まりやすくなること、リスクや変化への対応力の欠如といったことだ。

 これらはまさに“自律の低下”、つまり主体的に考え決定する力の欠損につながる。前回指摘したように、キャリア安全性(この職場で働き続けても得られるもの)は必要だが、個人のキャリア自律を阻害するような過度な安定志向は充実した仕事生活を遠ざける可能性を持つ。

 会社員として安定性を持ちながら面白い仕事をするにはどうしたらいいか──この相反する目標を両立するためには、自分の「こうしたい」が実現される環境が必要だ。

 大きな「こうしたい」があるわけではないが、日々の仕事の中で生まれる「こうしたい」「もっとこうだったらいいのに、やりやすいのに」は、まさにカイゼンの原点である。

 小さな「こうしたい」が思い通りになったり、他の人の意見をもらってより良くなったり。この面白さを体感すると、仕事が面白くなってくる。チームで仕事する楽しさや、以前よりより良いものが生まれる創造の楽しさが分かってくる。これは多様な人が周りに集まっている会社員だからこそ、日常的にやり易い“楽しさのつくり方”でもある。

 逆に、自分の「こうしたい」が無下にされるような環境だったら、それは離れたほうが自分のためと明確になる。

 職業に上も下もない。会社員はダサい? 私の答えは「No」だ。

 いろいろな情報から無意識のうちにそれぞれがつくり上げているアンコンシャス・バイアスに囚(とら)われず、「今なぜこの居場所にいるのか」を考え、言語化しておくことは自分を守るために必要だ。

 自分のキャリアについて考えるときに、まず「今ここにいる理由」を書き出してみよう。

(法政大学キャリアデザイン学部 兼任講師 なかむら アサミ)

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