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「社内調整の壁」で失注……を防げ 次世代の営業「バイヤーイネーブルメント」の可能性

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月25日 7時35分

 会社を動かすこと、つまり複数人の利害関係者を合意形成に導くことは、そもそも骨が折れる取り組みなのだ。

 米国の最新のトレンドでは、「営業活動における顧客の購買の難しさ」が、セールスの真の失敗の原因と指摘されている。そこで、顧客の購買担当が社内で適切な段取りで的確な提案と調整をできるようにエンパワーメントする「バイヤーイネーブルメント」という考えが主流になり始めている。

 対となる「セールスイネーブルメント」は営業の研修やコンテンツ提供により、営業担当がうまく顧客に喋れるようにフォローするものだが、バイヤーイネーブルメントは顧客自体に情報やコンテンツを提供することで、顧客が社内でうまく立ち回れるように支援する。

●バイヤーイネーブルメント実践で重要なポイント

 次に、バイヤーイネーブルメントを進める際のポイントを説明しよう。

 まず、顧客の担当者は、新しい企画・取引を通せるだけの、申請ロジックを組み立てないといけない。

 無数にある考慮すべき意思決定基準と、それを押さえた情報を整理し、優先度の高いものから一つ一つ順番に言語化。顧客はそれを見て社内説明をする。

 金額が大きく、複数人が関わる意思決定となるほど、このロジックのボリュームは多くなる。超大手企業との商談になると、この情報量は10万字にも及ぶこともある。

 顧客が社内で的確なコミュニケーションができるようサポートすることがバイヤーイネーブルメントだ。バイヤー(購買担当者)の説明力をイネーブルメント(向上)させる。

 申請ロジックを作成するときは、最終的なゴールから逆算して、あらゆる論点に応えられる情報を渡さなくてはならない。

申請ロジックに追加する情報

顧客の現状、課題や問題、取り組みの優先度、新しい取引先の情報、新しい取り組みをするべき理由、具体的な取り組み内容、取り組みによって見込めるROI、発注後のマイルストーン、成功するために工夫する体制、参考となる類似事例、ベンダーとの会議体、施策のKPI……

 これらの情報を基に顧客が企画書を作成し、社内の関係者に流暢(りゅうちょう)に話せるようにしなければならない。仮に社長や役員に反対されたとしても、取り組むべき合理的な理由や、購買後の成功イメージを語れないといけない。

 そのためには単に製品資料を渡すだけでは意味がない。より踏み込んだ情報やコンテンツの整理、事例やシミレーションの提供のほか、個別の提案内容を作り込み、顧客がいつでも読み直せる状態にしなければならない。

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