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「あえて非正規」増加 ウラに潜む“由々しき問題”とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月23日 7時30分

「あえて非正規」増加 ウラに潜む“由々しき問題”とは?

「あえて非正規」の陰に潜む問題とは? 写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

 アルバイトやパートなど、非正規社員に向けられるイメージは「雇用が不安定」「立場が弱い」「低賃金の代表」――など基本的にネガティブです。

 ところが、正社員の仕事が見つからないため不本意ながら非正規社員として働くのではなく、自ら望んで非正規を選ぶ「あえて非正規」が増えていると言われています。かねて、働き手は正社員を望むものと思われてきただけに、あえて非正規の増加は不思議な現象と映るかもしれません。

 しかし、あえて非正規の増加をめぐっては、さまざまな誤解があります。また、その陰に潜んでいる由々しき問題もあります。【筆者:川上敬太郎(ワークスタイル研究家)】

●「あえて非正規」が増えたと言われる理由

 あえて非正規が増えたと言われるようになったきっかけは、総務省が発表した労働力調査です。2023年と5年前の2018年、10年前の2013年とを比較してみると、非正規社員の数は、23年時点で18年と比べて4万人上昇、13年と比べると218万人上昇しています。

 その中であえて非正規が増えたとされるのは、非正規社員として就業している人の理由に変化があったためです。各年における非正規社員の割合を、その理由ごとにグラフ化すると、図表1のような推移になります。

 顕著に増加しているのが「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、2013年と2023年を比較すると10.9ポイント上昇。一方、顕著に減少しているのは「正規の職員・従業員の仕事がないから」で、10年前からほぼ半減しています。

 つまり「正規の職員・従業員の仕事がないから」というネガティブな理由で就業している不本意型非正規社員は減り、「自分の都合のよい時間に働きたいから」というポジティブな理由で非正規社員を選んでいる本意型が増えています。それが、あえて非正規が増えたと言われる理由です。

 さらに「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由で非正規雇用で就業する人の比率を、年齢階層別に比較してみると、図表2のように推移しています。15~24歳の層については学生比率が高いため、学生を除いた比率です。

 15~24歳、25~34歳で下降幅が特に大きいことが分かります。35歳以上の層は下降幅が10ポイント未満で年齢層が上がるにつれ幅は小さくなりますが、全ての層で比率が下降していることが分かります。

 そのため、あえて非正規が増加した原因は、若年層を中心に正社員志向が薄れるなど働き手の価値観が変化したことにあると言われます。確かに時代とともに価値観が変化している可能性はあるものの、あえて非正規の増加原因は価値観の変化だ、と断定すると誤解を招きます。

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