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物流で守るべき「一対一の原則」とは? 工場物流は「回収作業」を通して生産統制を実行せよ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月21日 11時15分

・したがって納入荷姿のまま生産ラインに供給ができる

・完成品容器も一定の数量をまとめてラインに供給できる

 本来であれば、工場内物流は最初に「サービス業としての役割」を果たさなければならない。しかし、上記の方式であれば「生産をコントロールする」という第二の役割は果たしていることになる。工場内物流改善の終着点ではなく、その途上としての位置づけであればこの方式は許される範囲と言えるだろう。

●物流で守るべき「一対一の原則」とは?

 物流には「一対一の原則」というものがある。これは、中身入りの容器を1箱供給したら、空になった容器を1箱回収するという考え方である。特に工場内での回収作業においてこの原則を守ることを徹底していきたい。

 生産ラインに部品などを供給するケースを考えてみよう。供給作業者は生産ラインに部品を供給すると同時に同じ箱数だけ空容器を回収する。つまり、50箱供給すれば原則として空容器を50箱回収することになるのである。

 別のパターンも考えられる。部品などを供給する帰りに完成品を回収するパターンである。物流で避けたいのは、行きに荷を運んでいても帰りは手ぶらという状態だ。工場の中で何も持たずに走っているフォークリフトを目にすることがあるが、これだけは避けたい。工場内物流の運用設計では、一対一の原則を守れるような物流作業を構築したい。厳密に一対一にならなくても「常に行った先で帰り荷がある」状態を構築し、物流上のロスを極小化したいものである。

●返品管理という業務について

 工場では不良を出すことは何としてもなくしたいところではあるが、なかなか不良をゼロにすることは難しい課題だと言えるだろう。いったん不良を流出してしまうとその回収作業が必要になる。それを担うのが物流である。物流では客先から不良品を回収するとともに、それを工場内の必要部署に返却することになる。

 この業務のプロセスにおいて大切なことに、在庫数管理がある。通常であれば客先で返却伝票を作成し、それとともに不良品を返却することになる。しかし、返却伝票に書かれた製品番号や製品名称が実際の製品と異なることがあるので厄介である。場合によっては返却伝票が発行されずに製品だけが戻されてくることもあるのだ。この確認作業に少々手間取ることがあるかもしれない。

 回収された製品は完成品在庫に戻すもの、生産ラインで補修して完成品在庫に戻すもの、廃棄処分にするものなど後処理が必要になってくる。これらの作業についても回収作業の一環として物流が担当することが多いので効率的な運用設計を考えたい。

 以上のように回収作業はあまり目立たないが工場運営にとって重要な作業である。今一度見直し、ムダなやり方をしていたらぜひ改善していただきたい。

●著者プロフィール:仙石 惠一(せんごく・けいいち) 

合同会社Kein物流改善研究所代表社員。物流改革請負人。ロジスティクス・コンサルタント。物流専門の社会保険労務士。

1982年大手自動車会社入社。生産管理、物流管理、購買管理を担当。物流Ierの経験を生かし荷主企業や物流企業の改善支援、各種セミナー、執筆活動を実施。

著書『みるみる効果が上がる!製造業の輸送改善 物流コストを30%削減』(日刊工業新聞社)『業界別 物流管理とSCMの実践(共著)』(ミネルバ書房)

その他連載多数。

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