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「富士山ローソン」問題はどうなった? “イタチごっこ”が続く理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月5日 6時30分

「富士山ローソン」問題はどうなった? “イタチごっこ”が続く理由

「富士山ローソン」でイタチごっこが続く

 「イタチごっこ」とは、まさしくこういうことを言うのだろう。

 山梨県富士河口湖町にある「ローソン河口湖駅前店」の屋根越しに富士山が撮影できるとして、向かいの歩道に外国人観光客が殺到していた、いわゆる“富士山ローソン”問題。その解決策として地元自治体が知恵を絞って設置した「黒い目隠し幕」に、1センチほどの穴が10カ所ほど開けられたのだ。

 ご存じのように昨今のスマホカメラは高性能なので、これくらいの大きさの穴があれば、簡単にきれいな写真が撮影できる。しかも「黒い目隠し幕に穴が開けられた」というニュースを見て、わざわざこの「穴」を見物しにくる外国人観光客まで現れる、という本末転倒なことも起きているという。

 同自治体では今後の対策として、まず幕の素材を強化するという。現在は農業用の遮光幕なので、ちょっと指で押せばすぐに穴が開いてしまうからだ。幕に2次元コードを付けて、町内の他の富士山撮影スポットを紹介することも考えているそうだ。

 ただ、残念ながらこれをやったところで「イタチごっこ」が続くだけだ。

 丈夫な素材にしても目隠し幕を破く人が現れるだろうし、夜など人通りの少ない時間帯を狙って、黒い目隠し幕の前に来て撮影する人も現れるだろう。他の撮影スポットへの「誘導」も難しい。ここに来る人たちは、富士山ローソンという“映える写真”を撮りたいのであって、富士山の写真だったら何でも良いわけではない。

 行政側は「目隠し幕」や「観光案内」で観光客の動きをコントロールできると思い込んでいるが、それに素直に従う観光客ばかりではない。なぜかというと、規制やアナウンスでは「こんな遠いところまで来たんだから記念に写真を撮りたい」という観光客の万国共通の「欲求」を抑え込むことはできないからだ。

●日本が「オーバーツーリズム」を解決できないワケ

 この不毛なイタチごっこを見ていると、日本がなかなか「オーバーツーリズム」を解決できない理由がよく分かる。

 それは一言で言ってしまうと、「観光地のトラブルは、観光客のマナーが良くなれば解決する」という昭和の思い込みだ。

 日本はこの手の問題が起きると、外国人観光客に「服従」と「反省」を求めるのが一般的だ。つまり、「地域住民に迷惑をかけないようルールを守りましょう」とアナウンスをしたり、今回のように「あんたらの行いが悪いのでもう撮影禁止にします」という懲罰的な規制をしたりするのだ。

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