「マツダの快進撃」はまだまだ続く? 認証不正発覚から襟を正して未来を描けるか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月7日 6時5分
●運転を楽しめる環境づくりに熱意
さらに、ドライバーの側に立った「使う楽しみ」の環境を提供することも忘れていない。それは走る場所を提供したり、走るステージを引き上げたりすることでも展開している。
走る場所というのは、マツダ・ロードスターのワンメイクレースとなるパーティレースはよく知られるところだが、それ以外にもJAFライセンス不要で仲間と楽しめる「マツダ・ファン・エンデュランス」(通称:マツ耐)といった、マツダ車であればさまざまな車種で楽しめるレースをサポートしている。3時間の耐久レースは、1人でやり抜けるものではないから、チームでゴールを迎えた時の達成感もひとしおだ。
その他にも、最近はレーシングゲームも広く普及していることから、プレイステーション用ドライビングシミュレータ「グランツーリスモ」とコラボして、バーチャル上でロードスターのワンメイクレースでのシリーズ戦を開催。シリーズランキング上位者を選抜してマツ耐に参加してもらう「バーチャルからリアルへの道」というプロジェクトを継続中だ。
実車のパーティレースの年間王座を獲得したドライバーをスーパー耐久選手権のドライバーとして抜てきするなど、ご褒美とステップアップへの道を用意している。運転を極めたいと思っているドライバーにとって、憧れの環境を用意しているのだ。
重要なのは、長期的な計画で物事を進めていることだろう。短期間の実施では、参加者数や全体のレベルなどが上下にブレることもあり、成果はつかみにくい。
日産もかつてはグランツーリスモとコラボして、レーシングドライバーを育てるプロジェクトを実施していたが、今はエントリーレベルの活動は途絶えてしまっているのが惜しい印象だ。こうした活動は続けることに意義があるから、自動車メーカー各社は何らかの方法でドライバーを生み出す活動を続けていく必要があるはずだ。
●エンジンの未来を感じた矢先の試験不正発覚
マツダはこれまでエンジンの可能性をとことん追求してきた。ここ数年はBEVへの取り組みが進んでいないと評価されるシーンもあったが、そうした確固たる姿勢がBEVの真の姿(実際はCO2排出量の削減にあまりつながらないという実情や需要不足など)が露見されるとともに、再評価されつつある。それも業績につながっているのだろう。
トヨタは既存のマスコミ以外のSNSやネット媒体なども含めて、さまざまな評判が世間をにぎわせ、自社のイメージに影響を与えることから、以前よりも情報公開を積極的に行っている。マツダも同様に、発売するまで非公開としてきた新技術を積極的に公開し、市販までの熟成ぶりを楽しませてくれることもある。
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