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「いきなり!」凋落の一方で規模拡大の「やっぱりステーキ」 明暗分かれた納得の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月8日 6時30分

 2016年に現社名で法人化した後、2017年にはフランチャイズ(FC)1号店として石垣店をオープン、また、県外初の店舗を大分に構えた。2018年には北海道・宮城・岐阜・福岡・鹿児島、2019年には静岡・愛知・大阪・三重・山口に進出。そしてコロナ禍の2020年6月に、吉祥寺で都内1号店を開店した。

 以前からメディアで取り上げられていたが、吉祥寺店のオープンは特に注目され、全国的な知名度も大きく向上した。メディアへの露出により、仙台など一部店舗の売り上げは倍になったという。店舗数の推移を見ると、都内進出時点で51店舗だったのが、2021年8月に75店舗となり、2022年10月時点では90店舗まで成長した。その後は横ばいに推移しており、非上場のため正確な数字は公表していないが、半数以上がFC店のようだ。

●お得感で「やっぱり」に軍配

 やっぱりステーキが拡大したのは、いきなり!ステーキが規模を縮小した時期に重なる。いきなり!ステーキの店舗数は、2019年12月期末時点で490だったが、系列店同士のカニバリゼーションやコロナ禍の影響により、2020年12月期には300店舗を下回るほどに縮小。現時点では、ピーク時の半分程度しかない。こうした状況でやっぱりステーキが伸びた背景にはメディア露出の影響もあるが、やはり「安さ」が主な理由といえよう。

 いきなり!ステーキでは、ステーキのランチセットを1500~2000円程度で提供しているが、通常の単品メニューにライスなどを付ければ、客単価は2000円を超える。一方のやっぱりステーキは、前述の通りセットで2000円以内に抑えられる。実際の客単価は1500円前後と見られる。

 やっぱりステーキの、ご飯やスープ、サラダの食べ放題は、特に男性客を取り込んだと考えられる。同社の成功例にならったのか、店舗によってご飯の大盛り無料や1回おかわり無料のサービスを提供していたいきなり!ステーキも、最近では何回でもお替りを無料とするサービスを提供し始めている。

●オペレーションの効率化や、出店方針がポイント

 やっぱりステーキが安さを実現できる背景には、徹底した効率化がある。

 肉が冷めにくい溶岩プレート上で焼き、一律レアで提供しているのは特徴といえるだろう。焼き加減の調節は客が自分のプレートで行うため、職人を配置する必要もない。対するいきなり!ステーキでは、レア・ミディアム・ウェルダンというように焼き加減の調節を受け付けているため、シェフは一定の熟練度が求められる。その他、やっぱりステーキでは食券機やタブレットの導入により、省人化を進めている。人件費率は通常の飲食店より10ポイントほど低く、20%を下回るという。

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