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「クラウド→AI PC」時代に台頭するのは? NVIDIAとの協業で注目が集まる企業

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月14日 6時10分

 そうしたリスクを回避するために、AIにもサイバーセキュリティ対策が必要になるのだが、これまではあまり深刻に捉えられていなかった。そのAIのサイバーセキュリティ対策をNVIDIAと協力して開発していくのが、日本に本社を置くトレンドマイクロなのである。NVIDIAのシステム上で、AIにあるリスクを回避し、データへのアクセス権限もきちんと管理していく。

 台湾で開催されたCOMPUTEXでは、トレンドマイクロのブースでエバ・チェンCEOに話を聞くことができた。台湾出身のチェン氏は「これまで企業などにAIのサイバーセキュリティのリスクについていろいろと話を聞いてきましたが、みんな『何をすればいいか分からない』と口々に言っています。これからはAIにもサイバーセキュリティが不可欠になり、われわれは、AIを安全に使える手助けをしていきます」と述べた。

 「トレンドマイクロは2018年から、AIに関連するサイバーセキュリティ開発に乗り出してきましたが、AIによって、サイバーセキュリティ分野も新しい世界が広がっていくと考えています。NVIDIAとの開発はそれをけん引していくことなります」(チェン氏)

 同社は、まだ対策が進んでいない「AIのためのサイバーセキュリティ」にいち早く着目して、急ピッチで開発を続けてきた。関係者によれば、実際にそう遠くない先に導入が始まりそうだ。

 トレンドマイクロではこれまで、同社の提供する統合サイバーセキュリティプラットフォーム「Trend Vision One」で生成AIを導入し、「Companion」というチャットボット型セキュリティアシスタントを提供している。ただ、これは「サイバーセキュリティのためのAI」だ。今回のNVIDIAとの開発は「AIのためのサイバーセキュリティ」となる。

●これからは「AI PC」が主流に

 また、COMPUTEXの取材では「PC」についてもよく耳にした。これからは、クラウドをベースにしたセキュリティよりも、「AI PC」と呼ばれる、AIを活用するのに十分なコンピューティング能力をもったPCが主流になっていくという。

 トレンドマイクロのブースで話をした同社プロダクトマネジメント部門のバイスプレジデントであるエリック・シュルツ氏は「AIを動かせないPCは近い将来、姿を消す可能性も十分に考えられる。これからは『AI PC』が主流になっていくだろう」と語っている。

 そうなると、個別のAI PCにもサイバーセキュリティは組み込まれていくことになる。これまでのように多くの組織がクラウドに依存しつつある環境の中で、AIの時代には「オンプレミス」でAIを利用するという環境に回帰していくかもしれない。

 そうなれば、もともと個々のコンピュータへのセキュリティからビジネスを広げてきたトレンドマイクロが、NVIDIAとの協力を皮切りに、オンプレミスのAIのサイバーセキュリティでも目立つ存在になっていくだろう。

 一般ユーザーや企業が数年前からあっという間にクラウドサービスを利用するようになったのと同じく、遅かれ早かれ、AI導入は待ったなしで避けられない時代になる。日本に本社を置くトレンドマイクロには、AI時代の便利さの裏にあるリスクに対処して安全性を提供してくれる世界的な存在になってもらいたいものだ。

(山田敏弘)

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