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東京の地下鉄には、なぜ分かりにくい「乗り換え駅」があるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 7時0分

 なお、以前から地上乗り換えの駅として、東京メトロ丸ノ内線と都営大江戸線の本郷三丁目駅、都営浅草線と大江戸線の蔵前駅がある。蔵前駅については、都営地下鉄のWebサイトに「約270メートル」と距離まで書いてあるほどである。

 紹介した駅については地上でそれなりの距離を歩かなければならず、公式に乗り換えができると知って、初めて便利に利用できることを知った人も多いかもしれない。一方、それぞれの駅が近いことはふだん利用している人や地元住民は知っているので、地下鉄はそのあたりを踏まえた上で「乗り換え駅」として位置付けたのかもしれない。

●乗り換え時間を「30分限定」から「60分」に

 地上乗り換えの場合、地下通路のように案内をあちこちに付けるわけにはいかず、迷いやすいという課題もある。しかも、乗り換え時間は30分限定。どこかで一休みしていれば、また初乗りになる。

 そこで東京メトロと都営地下鉄は2020年6月、改札外乗り換えの時間を30分から60分に拡大した。初めて地下鉄を利用する人はもちろん、全ての利用者にゆとりを持った乗り換えを可能にするのが理由である。

 虎ノ門駅と虎ノ門ヒルズ駅の乗り換えが可能になり、銀座駅から銀座一丁目駅の乗り換えも可能になった。特に虎ノ門ヒルズ駅に関しては、60分という時間を利用して虎ノ門ヒルズ内の商業施設を楽しんでくださいね……という意図があったのかもしれない。

 状況が分からない人には迷ってもいいだけの時間を、状況が分かる人には何かを楽しめる時間を、ということで乗り換え時間が60分になった。これにより、ほかの分かりにくい乗り換え駅も便利になったといえる。

●なぜ、分かりにくい乗り換え駅が生まれたのか?

 それにしても、なぜ都内の地下鉄で乗り換えが分かりにくい駅ができてしまったのか。

 理由としては、地下鉄の利便性向上がある。乗り換え駅が設定されることで、この駅で乗り換えても「損をしない」ことが利用者に伝わり、多くの人が便利に地下鉄を利用できる。一見分かりにくいとはいえるものの、それまでのように知っている人しか知らない、しかも「損をする」状況を改善しようとして、ここで取り上げたような“分かりにくい乗り換え駅”が誕生したといえる。

 東京都心部は、特に地下鉄の駅が多い。しかも、意外な駅が近接している。銀座一丁目駅は、その最たるものだろう。そういった駅を乗り換え駅として扱わない、運賃を通しで計算しないとなれば、利用者のスムーズな移動を妨げることになる。分かりにくいけれども、利便性を確保し多くの人に利用してもらうために、乗り換え可能な駅を増やしてきたのだ。

 例えば、都営新宿線岩本町駅の場合、秋葉原駅に乗り換えられることを示すことで、便利な駅であることを伝えられる。

 岩本町駅と東京メトロ日比谷線の秋葉原駅の間には神田川があり、両駅は別の街にあると考えがちだが、橋を渡れば秋葉原エリアであり、書泉ブックタワーもある。同書店はマニアックな趣味の本が多くそろっていることで知られる。乗り換え駅に指定することで、アクセスできることを示せるわけだ。

 そういう意味でも、分かりにくい地上乗り換えが存在することは、意義があるといえる。

(小林拓矢)

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