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サウナーの次はアワラー? 「人工炭酸泉」がじわじわ広がる、3つの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月19日 6時15分

 実際、どこかの温泉・入浴施設に行って人工炭酸泉に入ってみるといい。必ずといっていいほど大きな説明看板で「健康効果」がうたわれている。「炭酸ガスが皮膚の毛穴から吸収されると血管拡張し、血流が改善します」とか「心臓への負担が減ることから古来から欧州では“心臓の湯”として親しまれてきました」など人間ドックに引っかかるような中高年にササる魅力的なフレーズが並んでいる。

 あくまで筆者の実地調査に過ぎないが、このような「健康効果」を真剣な表情で読んでいる人ほど、じっくりと長湯をする傾向が強い。つまり、素人目に見れば「源泉掛け流しの温泉」より、人工炭酸泉のほうが「健康効果」がありそうに感じるのだ。

 このような一般消費者の「なんとなく体に良さそう」というユルい健康志向に加えて、食事や睡眠などに気を使う“意識の高い系”も人工炭酸泉にポジティブなイメージを抱いている。それが(2)の「『アスリートの重炭酸温浴法』への注目」だ。

 「重炭酸温浴法」はホットアルバム炭酸泉タブレット社(東京都八王子市)が開発した入浴法で、同社の「HOTTAB」という入浴剤を入れた「重炭酸湯」に15分以上ゆったりと入るというものだ。メジャーリーグのサンディエゴ・パドレスに所属するダルビッシュ有投手も2019年から実践していて注目を浴びている。

●「人工炭酸泉」人気が高まっている最大の理由

 この重炭酸温浴法と全国の温泉・入浴施設にある人工炭酸泉は、厳密には同じものではない。同社の公式Webサイトによれば、重炭酸湯はただ単に炭酸ガスを溶け込ませたものではなく、ドイツに多い天然炭酸泉と同じく「重炭酸イオン」が溶け込んでいるものだという。

 しかし、表面的に見れば「気泡がたつぬるま湯にゆったりと15分くらいつかる」点では同じだ。ならば“意識高い系”の人たちも人工炭酸泉にそんなに悪い感情は抱かないだろう。

 もちろん、ベストなのはドイツの温泉保養地「バーデン・バーデン」や大分の長湯温泉にある天然炭酸泉に入ることだし、経済的に余裕があれば、ダルビッシュ投手のような重炭酸温浴法を実践することだろう。だが、そこまではできないけれど効果のある入浴法を実践したい人にとって、人工炭酸泉はコスパの良い選択肢になるのだ。

 ただ、人工炭酸泉の人気が高まっている最大の原因は(3)の「『サウナで整えない』高齢者の増加」ではないかと考えている。

 人工炭酸泉に長くつかっている人たちを観察していると、年齢層が高めであることに気付く。休日などで浴場全体には子どもや若者が多くいても、人工炭酸泉は中高年に偏っているのだ。

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