2024年版カオスマップ発表から考える、リテールメディアのこれから 発展には10ステップが必要だ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月28日 6時35分
こうした共創の状況を他のメディアに例えるなら、マスメディアの創成期と似ています。
テレビがなかった時代に電波塔が立ち、いくつものテレビ局が開局し、人が注目する数限りない番組コンテンツが生まれました。テレビ局の発展と並行し、テレビ機器も映像や音の鮮明度、録画機能、さらにネット接続など常に技術革新の歴史を歩んできました。昨今ではコネクテッドTVとしてテレビ広告とオンラインをつなげるサービスも拡大しています。その成果が、圧倒的な人数が接触するマスメディアの確立です。そして、広告サービスを広告主に提案して展開するための橋渡し役を、広告会社が担いました。
0から1を創り出し、日本のメディアの主流になる過程においては、各社が競合として取り合うのではなく、このようにマーケットを創って拡大していった部分が大きかったのではないでしょうか。
リテールメディアに置き換えれば、テレビ局が小売企業、テレビメーカーがサイネージ企業やAIカメラ企業、テレビとオンラインのハブを担うのが人流データやビーコンです。広告会社はプロデューサーを担うことになるでしょう。その役割はサービス設計や他媒体との差別化、IT・データ連携からメディアの事業計画書まで多岐にわたります。「ビジネスプロデュース企業」と表現するのが適しているかもしれません。
今回のカオスマップには各社のロゴが配されています。これは単なるプレーヤーの配置を示したものではなく、これだけ力を持った企業が手を取り合い、ともに新しいメディアを創り上げる覚悟を示しているといえます。
今後は、各社の店舗への集客数、POSデータ、アプリ会員数、ECアクセス数などの多寡に応じ、各社のメディアポテンシャルを算出し、広告サービスを設計。その上で営業、というフェーズに入ることでしょう。
一方、今回のカオスマップにロゴがないような小売企業は、次のように感じているのではないでしょうか。
「リテールメディアが活況なのは分かる。しかし、小売企業が本当に広告で売り上げを生み出せるのだろうか。まして当社は、アプリ会員数やECへのアクセス数がまだこのカオスマップに載っている企業ほどには至っていない」
こうした企業にも、すぐ実行可能な策があります。人流データやビーコンとの連携です。人流データやビーコンにより、既にスマホの移動経路などのデータを持っている企業と店舗情報を連携することで、早期にメディア化できるのです。
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