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退職予定者のボーナス「大幅減」は違法か? ボーナスにまつわる疑問を解説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月24日 8時10分

・会社都合による退職の場合

 会社の業績不振などによる整理解雇である場合は、退職日を本人が決められないため、支給日在籍用件は適用されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべきです。

 定年による退職も一般的には、60歳の誕生日を迎える日が属する月の末日などと就業規則で定められていますので同様に扱われるものと思われます。しかし定年退職日は「会社都合の退職と異なり、あらかじめ予測できるため払わなくてもよい」という説もありますので、会社の判断となります。

 その他、支給日在籍要件が有効だとしても、「賞与の支給日を故意に遅らせること」はNGです。例えば「賞与の本来の支給日は6月20日であるものの、6月30日に退職することが決まっている社員Aへの賞与の支給を避けるために、支給日を7月5日に後ろ倒しにする」といった状況です。

●就業規則に支給日の在籍要件が記載されていない場合は?

 就業規則に「賞与は、支給日に在籍している社員に支払う」という記載がない場合、会社は支給日前に退職する社員にも賞与を支払わなければならないのでしょうか? 過去に支払っていなかったという事実があれば、就業規則にも支払わなくても違法ではありません(参照:日本の人事部「賞与の支給日在職要件について」より)

 ただし会社側の立場に立てば、余計なトラブルを生まないよう就業規則に支給日在籍要件を明記したほうがよいでしょう。社労士としての経験でいえば、大半の会社に支給日に在籍するという要件は記載されています。

●退職予定者の賞与の減額は適法?

 支給される直後に退職予定のため、賞与を大幅に減額されたという人の話も聞いたこともあるでしょう。退職者に対する減額に関する過去の有名な判例として、ベネッセコーポレーション事件があります。

 この裁判は、退職予定者に対しては賞与を別の計算方法で支給すると就業規則などの規定に定めたうえで、退職者の賞与を82%減額した状況について争われました。判決では「退職者予定と非退職者予定者の賞与額に差を設けること自体は不合理ではない」と判断された一方、2割の減額までしか認められませんでした。

 したがって、退職予定者には賞与を減額する旨の記載が就業規則にあったとしても、大幅な減額は認められない可能性が高いです。平均支給額が50万円であれば2割の減額として40万円とするのが妥当なラインといえるでしょう。

 また賞与の支給直後に退職する人の賞与の減額をするような仕組みを作ると、減額防止のために直前に退職を申し出る社員も増えるという弊害が発生するかもしれません。

 就業規則で退職の届出は〇〇カ月前と定めていても、この点については民法の2週間前に申し出すれば問題ないという定義が優先されるからです。労働基準法では労働者が何日前に退職の意思表示をしなければならないという規定はありません。

 就業規則は万能ではありませんので、民法や労働基準法などを参照しながらルール設計をするとよいでしょう。

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