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北海道の釧路製作所が社内DXを推進した“意外な”効果

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月4日 19時31分

 まずは労務関係を一元化し、勤怠のデータをそのまま給料に反映する仕組みを構築した。会計側とも連携し、ほとんど紙を介さず、例えば社会保険事務所や税務署に行かなくても、申告や申請ができるような仕組みを整えていったという。

 「これで帳簿処理などが全て自動化できるようになりました。タイムカードをもとに残業代なども自動計算されますし、雇用保険や労災保険料の計算などは従業員の年齢などによって異なってくるのですが、これも自動化できました」(羽?社長)

 さらに羽?社長は、社内DXをトップダウンだけでなく、ボトムアップに推進する特別チームを2023年4月に結成。メンバーは立候補制で、社内から20代から40代までの7人を選んだ。

 このDXチームのリーダーに就任したのが、新保美玖さんだ。新保さんは釧路市出身。釧路高専を卒業後、新卒で釧路製作所に入社した。幅広い年代の社員が集まるDXチームの中で、まだ入社5年目の20代だ。

 「衰退していく釧路の町並みを見ていて、なんとか地元に貢献できる仕事をしたいと考えていました。そこで会社説明会で地域振興のために事業を展開している釧路製作所の取り組みを聞いて『ここしかない』と思い入社しました」(新保さん)

 現在は品質保証室に在籍しながら、DX推進チームのリーダーとしてさまざまな企画・立案をしている。DXチームではまず、現状の課題を洗い出すところから始めた。新保さんがこう振り返る。

 「本来業務でないにもかかわらず、単純業務で忙しくなる仕事が主に3つありました。それは事務用品の在庫管理、ドライバーのアルコールチェック、そして社員食堂の食券の作成業務です。特に紙の食券の作成業務は20枚1セットで大きな紙に印刷し、それにミシン目を付けて裁断する必要があったので1日に10数セットしか作成できず、大きな負担でした」

 こうしたタスクを自動化するには、LINE WORKS単体の機能では対応できなかった。そこで都内のITコンサル企業・ジョイゾーが提供する「Joboco」というサービスを使い、プログラミングの知識がなくてもノーコードで業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるクラウドサービス「kintone(キントーン)」とLINE WORKSを連携させた。

●10~70代の従業員 どうやって使いやすくした?

 事務用品の在庫管理はそれまで、担当職員が在庫数を目視で確認し、発注をしていた。釧路製作所の場合、事務用品自体の数も多く、また事務用品がある倉庫はメイン社屋から徒歩2~3分の距離があり、時間的な負担もあった。

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