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タクシーは3時間待ち──地方の深刻な人手不足は「むしろ勝機」 地銀9行が手を組み、何を仕掛けるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月25日 8時40分

 鹿児島銀行の小笹康浩氏(執行役員 地域支援部長)は「地域金融機関として地域企業の支援をする中で、(企業の)悩みの中心は資金から、労働力不足になってきた」と指摘する。「銀行の立場でテクノロジーを持つスタートアップと知り合う機会はあるものの『点』にとどまっていた。これを『面』にしていきたい」(小笹氏)

 人材不足の深刻化で、企業内で不足する人材のレイヤーに変化が生じていると、四国銀行の川崎隆二氏(地域イノベーション部長、「崎」は「たつさき」)は話す。長年「後継者不足を解決すれば事業を継続できる」と事業承継に取り組んきたが「昨今は様相が変わり、従業者がいない。地元(の経営者同士)で(人材を)紹介し合うような取り組みも存在はするものの、地域経済を「面」で見ている地銀にとっては「何の解決にもならない」(川崎氏)

 こうした課題に向き合う中で、コンソーシアムへの参画を通じて「他金融機関がどういった課題解決をしているのか分かる」と期待を寄せるのは、常陽銀行の小野瀬真一氏(執行役員 経営企画部長)だ。茨城県を中心に展開する同行は、つくば発のスタートアップと接点を持つことはあっても、その拡大が課題になっていた。「銀行にはない先進的なノウハウを持つスタートアップとの連携は不可欠」と捉えている。

●人口減少先進国ニッポン だからこそできる挑戦

 スタートアップには今、多くの資金が流れ込んできている。2022年に発表された「スタートアップ育成5か年計画」は、時価総額1000億円超の未上場企業を指す「ユニコーン企業」を100社に拡大することを掲げる。一方で岩澤氏は、スタートアップ投資に従事する中で、ある違和感を抱いていたという。

 「ユニコーンと言いつつ、欧米のタイムマシン的なビジネスモデルだ。これも大事なことではあるが、外国にフィーを払い続けるビジネスモデルが既定路線になってしまっている。世界で勝てるような産業が、日本から生まれにくい。

 起業家の皆さんと議論する中で『今、世界中で日本にしか見えていない課題』にディープダイブすることが、実は世界にチャレンジする一番の近道なのではないかと考えた」(岩澤氏)

 多くの先進国が少子高齢化に伴う労働力不足の課題を“時限爆弾”的に抱える中、日本発のスタートアップが省人化による生産性向上の手法を確立し、世界の需要に先駆けていく。そんなビジョンを掲げる。

 労働市場に詳しいリクルートワークス研究所の古屋星斗氏は、生産性向上のための省人化産業には、設備投資を牽(けん)引する人材が不可欠と指摘する。DXのためのテクノロジーを、課題を抱える現場にいわば“輸入”するようなやり方では、改善どころか混乱につながりかねない。現場が学び直して導入する、または外部人材が現場に深く入り込んで導入するといった対応が必要だ。

 「そうした人材の採用数は10年で3倍に増加するという結果もあり、非常に大きなニーズが存在する。地銀が見聞きする現場の課題と、『どんな技術を活用できそうか』という情報のどちらも分かる人材が必要になってくる。

 地銀側が学び直しをしてそうした人材配置を実現する、あるいはVC側が用意するといった役割が求められてくる」(古屋氏)

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