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たまにウソつく生成AIに「契約書管理」は無理? 「40年の歴史」持つ言語解析AIが再評価されるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月11日 8時20分

●技術の良いとこどり

 Contract Oneは、ルールベースの技術を中核に据えつつも、生成AI技術の利点を最大限に生かすことで、ユーザー体験の向上にも注力している。

 「契約書の要約機能や質問応答システムには、最新の生成AI技術を採用した。これにより、ユーザーは自然言語で複雑な質問をしたり、長文の契約書の要点を瞬時に把握したりできる」と尾花氏は説明する。

 例えば、Contract Oneの「AI要約機能」を使えば、数十ページに及ぶ契約書の主要なポイントを数行で要約できる。これにより、営業担当者や経営層など、法務の専門知識を持たない人々でも、契約書の内容を迅速に理解できるようになる。

 また質問応答システムでは、「この契約の解約通知期限は?」「守秘義務条項の有効期間は?」といった具体的な質問に対して、関連する条項を即座に抽出し、分かりやすい言葉で回答を提示する。これにより、契約書の検索や確認にかかる時間を大幅に削減できるという。

 「生成AI技術の導入により、Contract Oneはより直感的で使いやすいツールになった」と尾花氏は強調する。「ルールベースの技術で高い精度を担保しつつ、生成AIで柔軟性と使いやすさを向上させる。このバランスこそが、われわれの目指す理想的な契約書管理の形だ」

●契約書管理の未来:戦略的資産としての活用へ

 Contract Oneが目指す未来像は、単なる契約書管理の効率化にとどまらない。

 「われわれは、(名刺管理の)Sansanを人流、Contract Oneを商流、Bill One(Sansanの請求書管理サービス)を金流と位置付けています。これらを連携させることで、ビジネスのインフラを構築したい」と尾花氏は言う。

 例えば、営業担当者がSansanで顧客情報を確認する際に、その企業との契約書の概要も同時に表示されるようになっている。これにより、営業担当者は商談の際に、既存の契約内容を踏まえた提案ができるようになる。また、契約の自動更新期限が近づいた際にアラートを出す機能も、営業担当者は適切なタイミングで顧客にアプローチし、契約の継続や条件の改善を図ることにつながる。

 さらにその先には、契約書データを営業活動に活用する構想もある。「例えば、ある取引先との複数の売買契約を比較し、『先方からこれだけ買っているのに、売りが少ないのではないか』といった分析ができるようになる。契約書を戦略的に活用する新しい可能性が開ける」と尾花氏は展望を語る。

 Sansanは名刺データを共有することで営業力を強化するというアプローチによって、「管理」というあいまいな取り組みを「売り上げアップ」に結び付けて急成長した。契約書についても、正確な情報をデータベースに記録し、さらに現場の担当者が使いやすくすることで、収益拡大につなげていけるかもしれない。単なるコスト削減ではなく、売り上げ拡大につながるリーガルテックへ。契約書が戦略的資産となる日も近いのかもしれない。

筆者:斎藤健二

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