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中国製EVが「日本市場で好調」と言い張りたい、本当の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 6時0分

 ただしインテリアに使われている樹脂部品は質感や剛性感がいまひとつで、劣化により快適性にも影響が出そうだと感じた。

 クルマの品質は3~4年も使用していれば、信頼性や部品の耐久性がどれほどのものか、自ずと見えてくる。

 日本のユーザーは長く日本車ばかり乗ってきて、車検の時にディーラーに出すだけでメンテナンスの必要はないと思い込んでいる人も多い。そのため購入後5年くらいはほとんどメンテナンスフリーで、大きな出費を伴うことなく乗り続けられる感覚がある。

 この日本ならではの目の肥えた(?)ユーザー感覚に対応できなければ、日本市場では伸び悩むことは必至だろう。

 新車には製品保証が付けられているが、家電製品同様、日本と中国では保証に対する考え方がまったくと言っていいほど違う。日本は壊れないことを保証するのに対し、中国は壊れたら補償するという姿勢だ。

 家電であれば新品に交換すれば済むのかもしれないが、クルマの場合、生命を左右しかねないだけに安易な気持ちで購入することは難しい。故障で立ち往生したり、修理代金が高額になったりすれば、途端にそのブランドには嫌気が差すものだ。

 日本の自動車メーカーが生産するEVで、発火事故はほとんど聞いたことがない。それはバッテリーの生産工程からこれ以上ないほど品質を高め、製品を送り出しているからだ。

●日本市場が海外メーカーの“鍛錬の場”に

 同じように韓国のヒョンデ(現代自動車)も日本に再上陸を果たしているが、登録台数で見ればBYD以上に苦戦している。ディーラーを置かずオンラインのみで販売していることが、斬新さのアピールにはつながっておらず、販売コストは抑えられるものの消費者との接点を得ることが難しいというジレンマに陥っているようだ。

 筆者が試乗したコナは、クオリティーが高いEVという印象を得たが、あえてこのクルマを選ぶという選択肢が浮かばない限りは、成功するのは難しいと思われる。

 日本市場で通用するということは、日本車同等の評価を得たことにつながり、それを手柄に新興国でアピールできる。日本市場に並ぶクルマたちのクオリティーの高さ、アフターサービスの充実ぶりを平均水準として利用し、自社製品のイメージを高めようとするのだ。

 日本の自動車市場は、自動車メーカーが鍛錬する場にもなりつつあるのだ。そこで通用すれば世界の市場で通用するといったように、新興国のメーカーも挑戦してくることが今後は増えるかもしれない。

 BYDが日本市場で鍛えられることを望んでいるとは思わないが、ここで簡単に撤退するようでは、世界戦略も失敗に終わり、中国国内へ外貨を注ぎ込んで経済を立て直すことにはつながらないだろう。長期戦で考えるまでもなく、販売戦略に限らず本当の意味で、良いクルマ作りが求められるのは当然のことだ。

(高根英幸)

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