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「社員もネットカフェを利用しないときがある」 快活クラブの反省、渋谷新店舗に生かす

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月22日 12時30分

 調査の結果分かったのは、お客がカフェでやっていることと、快活CLUBでやっていることはほとんど変わらないということだった。不特定多数が集まるカフェよりも、完全個室がある快活CLUBの方がゆっくりできる環境は整っているはず。にもかかわらず、時間を過ごす場所として選ばれないのはなぜか? 大城氏は「入りやすさがない」という仮説を立てた。

 これまでの快活CLUBといえば、ビビットなオレンジ色の看板に、「コミック・インターネット・テレワーク・飲み放題カフェ・鍵付完全個室」といった宣伝文句がずらっと書かれていた。こうした外観は一目で快活CLUBと分かる効果がある一方、その雰囲気に押されて入りにくく感じる“謎の圧”を出していた。また、店内も機能性が第一と考え、おしゃれさやデザイン性についてはあまり重視してこなかった。

●若手世代に一任、上層部も納得

 そこで同社は、快活CLUB渋谷センター街店の店舗設計を、大城氏など女性を中心とした若手社員に任せた。目指したのは、カフェのように入りやすく、若手社員が「実生活で使ってもいいな」と思える店舗だ。

 「入りやすさ」を具現化したのが、2階にあるCAFE LOUNGEだ。既存店にはなかった、カフェのようなおしゃれで落ち着いた雰囲気がある空間には、ゆったり座れるような1人掛けのソファーやローテーブルが並ぶ。

 また、室内のイメージを大きく左右する壁紙を、これまで定番だった白色からグレーに変更。加えて無地ではなく、石の表面のようなデザインがあるものを採用した。

 店内に掲示しているドリンクバーの使い方や視聴できる動画コンテンツなどの張り紙を撤去し、最低限の案内にとどめた。「目に入る“雑音”を極力減らし、掲示するポスターも店内になじむような色使いやフォントとしました」(大城氏)。トイレやシャワールーム、ドリンクバーを示したアイコンも、スタイリッシュなデザインに統一。ルームナンバーも数字だけ記載するのではなく、丸いプレートを組み合わせることで、かわいらしい印象に仕上げている。

 こうした若手の改革案には上層部の反発がつきものだが、大城氏は「『若者はそう感じるのか!』と驚きの反応はありつつも、提案を受け入れてくれました」と振り返る。改革案を提案される側だった取締執行役員の中川和幸氏は「壁紙の色やアイコンマークなど想像もつかない案で驚きました」としつつも、「『今のままではダメだ』という共通意識が事前にあったので、どのように変えるかの議論を最初からできました」と話す。

●目標の客数は既存店の2倍

 こうした改革を経て誕生した快活CLUB渋谷センター街店は、メインターゲットに女性を設定している。大城氏によれば全店舗での利用客のうち女性は20%ほど。「ですが、都心は1人で行動する女性も多いので40%くらいの店舗もあります」(大城氏)。渋谷という立地の良さに、これまでにない入りやすさを加えた店舗で、さらなる女性利用の促進を目指す。

 目標の客数は既存店の2倍としている。既存店での利用時間は平均4時間ほどだが、同店ではカフェのように使われることを想定し、1時間前後の利用を見込んでいる。利用時間は短くなるがその分回転率を上げ、客数増加を狙う。

 徹底した調査や若手社員の意見を取り入れ、新しいコンセプトを立ち上げた快活CLUB。女性をはじめ、ネットカフェに見えないハードルを感じていた消費者に、新しいネットカフェの価値観を訴求できるか。

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