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急速に進む「ヒューマノイドロボット」導入の動き テック企業が今、「人型」にこだわる本当の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月26日 8時10分

●ヒューマノイドロボットとAIの深い関わり

 ヒューマノイドロボットの導入に関しては、2024年3月にメルセデスも動いている。米国のヒューマノイドロボットを開発するスタートアップApptronikとメルセデスが、商業契約を結んだのだ。

 Apptronikのプレスリリースによると、さほどスキルが要求されないものの、肉体的に負担の大きい作業をロボットにより自動化するとある。おそらくは、自動車組立ならではの、非常に重いものを持ったり、運んだりすることを想定していると推測できる。Apptronikの開発するヒューマノイドロボットアポロは、NASAの火星探査用ヒューマノイドロボットValkyrieの開発で培った技術を商用化したものである。

 アポロのスペックシートによると、実に55ポンド(約25キロ)もの重量物を運べるという。日本の労働現場の話になってしまうが、厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」の中で、荷物の重量を男性は体重の40%以下、女性は男性における制限の60%に抑えることを推奨している。体重70キロの成人男性なら荷物は28キロまで推奨、ということになる。

 繰り返し荷運びする現場では、アポロのように25キロの荷物を運べれば十分に実用的であり、現場の労働力になる。Apptronikはまるで人間のように、丁寧に荷物を運ぶアポロの様子をイメージした画像を掲載している。

 飲食店で導入が進む配膳ロボットをはじめ、にわかに注目を集めるヒューマノイドロボットも、AIと深い関わりがある。配膳ロボットには、自動運転などで培われた衝突回避のための画像認識技術をはじめ、あらかじめ作成した地図情報から現在の位置を把握する自己位置推定技術などが活用されている。

 これにより、まるで1980年代のSF映画から出てきたように、人との接触を華麗に回避し、移動するロボットの開発が可能となった。これも、Googleのようなテクノロジー企業をはじめ、世界中の自動車メーカーが次世代の重要技術として莫大な予算を投じて自動運転の研究を進めた結果、関連技術が急速に一般化し、安価に調達できるようになった賜物(たまもの)である。

●自律的で知的なロボットへの進化

 ヒューマノイドロボットの要である「二足歩行」にも最新のAI技術が活用されている。四つ足よりも重心が不安定な二足歩行の実現に、深層強化学習を用いた制御技術が活用されている。

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