「簡単に負けるわけにはいかない」タイミーが上場、新たな競合にどう立ち向かうか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月26日 19時19分
発表会に登壇した小川社長
単発アルバイトの仲介アプリを手掛けるタイミー(東京都港区)が7月26日、東証グロース市場への上場を果たした。公開時の価総額は1379億円で、初値は公開価格の1450円を上回る1850円、終値は1650円となった。メルカリやリクルートなども続々とスポットワーク市場に参入する中で、タイミーはどのように事業を広げていくのか。同日、都内で開かれた記者発表会で、小川嶺社長が今後の成長戦略を語った。
タイミーは2017年に、当時大学生だった小川社長が創業した。単発で働きたい人と求人企業を仲介するサービスで、あらかじめ自身の情報を登録した求職者が求人に応募すると、サービス内でマッチングが成立するというもの。2024年4月末の時点で登録者数は約770万人、導入事業者は約25万4000拠点を数えており、目標とする成長度合いに到達できたとして、このほど上場に至ったという。
事業拡大の背景として小川社長が挙げたのは、「自由に働きたい」という世代を問わないニーズの高まりだ。登録者数の内訳(2023年12月末時点)を見ると、学生が31.8%を占めている一方で、会社員の割合も29.7%に達しており、副業解禁やリモート勤務の広がりによる、働き方の変化も追い風になっているとの認識を示した。最近ではシニア層の登録者も増加しているとして、「働くインフラを作ることにつながっている」と手応えを語る。
競合の参入が増えていく中で、価格競争も始まるのではないかとの指摘を受けると、「30%の手数料を維持しながらこれまでも成長していくことができた。人が集まる、いい人が来る、導入事業者へのサポート体制があるという点で、見合う価値を提供してきたと捉えている。下げていくことは考えておらず、よりサービスのクオリティを高めていきたい」と説明した。
また、3月にスポットワーク市場に参入し、登録者数がすでに500万人を突破した「メルカリ ハロ」について問われると、「なるべくメルカリという言葉は出さないようにしていたのですが……」と苦笑しつつ、「子会社として(市場に)入ってきており、明らかに思想が違う」とコメント。「業界の規模が膨らむのは喜ばしいこと」と前向きな姿勢も見せつつ、「自分たちは創業時からの事業としてやっている。簡単に負けるわけにはいかない」と意気込みを見せた。
今後強化したい取り組みについては、勤務データを基にワーカーを評価し、報酬・待遇の向上につなげていく仕組み作りのほか、スキル・資格取得の機会提供といった、正規雇用への接続につなげる試みなどを挙げる。
また、スポットワークとしての特性上、長期のアルバイトよりも友人関係といった横のつながりを作ることが難しい点を踏まえ、コミュニティー機能の実装も検討していきたいとした。さらに、少子化が深刻化する韓国の状況などにも言及しつつ、将来的には海外に進出したいとの意欲も見せた。
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