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なぜ、月極駐車場に注目? ニッチすぎる存在をDXで“宝の山”に 驚きのビジネスモデルに迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月30日 6時40分

 そもそも駐車場ビジネス自体も、これまでは日陰的な存在でした。

 駐車場ビジネスには、月極駐車場の他に時間貸しのコインパーキングもあります。コインパーキングは管理機器などの整備が進んだことで、近年多くの業者が参入して都心部を中心にレッドオーシャン化しつつあります。初期投資がかかり、車室の回転数によって売り上げが変動するため、駅前やオフィス街などの立地でないとビジネスが成立しづらいという問題点もあります。

 対して月極駐車場ビジネスは、住宅や事務所が多い地域であれば比較的容易にビジネス化が可能です。しかし、初期費用が安価なものの、車室の数で売り上げの上限が決まっており、地元の不動産会社が賃貸管理の傍らで運営する程度の、注目度が低い遊休的ビジネス領域でした。とはいえ、一度契約したら転居するまでの間、契約を移転するというケースは少なく安定した収入源になる、というメリットもあります。

 ハッチ・ワークは、この遊休的でマーケットが荒らされていないビジネス特性と、月極の安定収益性に目を付け、新たなビジネスを開拓したといっていいでしょう。

 前者に関しては、同社の月極駐車場登録台数は現在31万台ですが、全国には約3000万台分の月極駐車場が存在するとしており(同社推定)、同社のシェアはまだ1%に過ぎないということから開拓の余地が大いにあるビジネス領域であることが分かります。後者に関しては、同社の月極イノベーション事業における売上高の約6割がストック収入であるとのことで、安定性を見込んでいるようです。こうした安定性の下、大いなる未開拓部分に推進をかけていくことで、息の長い成長が期待できるビジネスモデルである点が注目に値します。

●駐車場をハブにさまざまなサービスを構想

 上場を果たしたハッチ・ワークは、今後どのような展望を描いているのでしょうか。増田社長は「上場を機に次のステージに移行し、DX推進で集めたデータを活用する戦略に乗り出す」としており、月極駐車場を「単なる車を止める場所」から「付加価値を生み出す場所」に変えていくと意気込んでいるようです。

 より具体的に、ハッチ・ワークは月極駐車場を活用した未来予想図として「ファーストワンマイル構想」を提示しています。

 ファーストワンマイルとは「自宅からの最初の一歩」を表す表現であり、生活に隣接した月極駐車場を、モビリティから派生する多様なサービスを提供する新たな拠点として位置づけていこう、という狙いが込められているビジョンです。コンビニなどが自宅への物流の最終拠点として「ラストワンマイル戦略」を繰り広げていることに呼応する、より高い利便性を実現する新しい生活空間づくりまで視野に入れた、次世代戦略であることが分かります。

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