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タカラトミーの”出産祝い金200万円”はなぜ実現した? 「子育て支援だけではない」改革の全体像とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月1日 6時0分

 「長期間の取得を推進するため、支給条件も『育児休業を28日以上取得すること』としました。取得した本人や上司へのインタビューを社内で紹介するなど、啓もう活動にも力を入れています。1人が取れば次の人も取りやすくなるそうなので、環境を整えて、人数を増やしていくことが”当たり前”につながっていくと思います。子どもの成長をリアルに体験できることはなかなかない機会ですし、おもちゃの企画やマーケティングといった形で、今後の仕事にも還元されるのではないかと」

 それにしてもインパクトのある金額だが、原資はどこから出しているのか。注目すべきは、同時に実施された「ジョブ型人事制度」への改定だ。社員の等級制度や評価制度を、結果・成果や成長促進を重視する形式に改めた。これにより、初任給を月額にして約1万円(4.3%増。4年制大学卒の場合)上げるなど、等級ごとの報酬を改定。

 代わりに仕事の成果とはかかわりの薄い、「世帯手当」や「子手当」といった属人的な手当てを廃止し、基本給や賞与、祝い金に反映させた。中村氏が「ジョブ型人事制度」と「両立支援制度」を、一連の改定の「両輪」と強調するゆえんだ。

 200万円という金額を定めるにあたっても「議論はあった」というものの、旧制度で支給されていた子手当の総額などを根拠に「理論づけて通しています」と中村氏は話す。こうして決まった今回の制度改定は、導入前に社員に行われたヒアリングでも、おおむね好評を得たという。

●サポートする社員にも手当、「制度化はこれから」

 また、併せて試験的に導入したのが、業務をカバーする社員への「休業・短時間勤務応援手当」だ。これまでも育児休暇・介護休暇の取得や時短勤務を推進してきた同社だったが、人員補充が必ずしも追いつくわけではなかったことから、「周りに迷惑がかかる」として、本人の心理的負担につながってしまう実情が少なからずあった。

 また、問題がより深刻なのが、介護と仕事の両立に悩む社員のケースだという。「家族が介護状態になってしまうのは突然ですし、いつまで続くのか分からない不安がある。育児に比べて計画的に調整ができず、『お互いさまでは済まない』という声が上がっていました」

 こうした状況も後押しし、同社は休業・短時間勤務を選択する社員本人だけでなく、周囲の社員への手当の給付を開始。原資には休業に伴って減額となる分の、社員の給与の約3割を充てる方針だ。

 祝い金200万円の給付対象となる社員はまだ発生していないというものの、社員の家族やメディアからの反響は大きい。中村氏は「こんなに影響力があるとは」と驚きを見せつつも、「今はまだチューニングの期間」だと話す。

 「特に応援手当については運用が回るのかどうか。現在は試験導入のため、今後制度化できるかが課題です。後はやはり活用してもらいたいので、社内でも周知して正しく理解してもらい、制度を必要な人がすぐ使えるように整えていきたいです」

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