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「薄皮たまごパン」7カ月で1200万個の大ヒット ランチパックたまご味と消費シーンがどう違うのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月8日 6時15分

 通常、パンの新商品は発売から2カ月程度で入れ替わることが多いが、改良を重ねて発売した「薄皮たまごパン」は7カ月たった今でも高い販売数を維持している。

 「薄皮たまごパン」のターゲット層についても、従来の薄皮シリーズとは異なるアプローチを取った。元々、薄皮シリーズは「つぶあんぱん」が定番で、特に50~70代の高年齢層に親しまれてきた。「今回の総菜パンは、それより若い世代も狙う意図があった」と川土居さんは語る。

 結果として、「薄皮たまごパン」は30~40代の層に好評を得ているという。働き盛りの世代にとって、朝食や昼食時に手軽に食事代わりになる商品は、忙しい日常生活にマッチしている。この点が、若年層に支持される一因となっているようだ。

●「満足感」と「食事代わりになる」

 発売から7カ月で1200万パックという販売実績は、社内でも「ヒット商品」として受け止めている。発売当初、購入者からは「薄皮でこういう総菜系を待っていた」といった声が多かったが、いまでは定番商品として根付いている。

 ヒットの要因について、同社は「薄皮シリーズの特徴である満足感と、総菜パンへの需要の高まりが大きな要因だと考えている。実際、総菜パン全般の売り上げが高い」と分析する。

 同社の主力商品のひとつに「ランチパック」がある。このシリーズにも「たまご」があるが、どのような違いがあるのか。川土居さんは「ランチパックはカバンに入れても潰れにくく持ち運びやすいので、外で気軽に食べられるというコンセプト。一方、薄皮たまごパンはボリューム感があり、食事代わりにもなるため、主に家で楽しんでいただくことを想定した」と説明する。

 ちなみに、薄皮シリーズの包装個数については、2023年1月からそれまでの5個入りが4個入りに変更された。ただし、個数は減ったが満足感を維持するため、1個当たりの重量を約1割増やしている。ボリューム感が増したことで、より食事代わりとしての価値が高まったといえる。

●今後の展開と業界の動向

 山崎製パンは総菜パンシリーズのさらなる展開を計画している。「中食需要は高止まりしている。一方で、食料品を中心とした値上げなどもあり、節約志向の傾向も強くなっているため、手軽かつ気軽に満足感が味わえて食事代わりになるような商品をテーマに開発を進めている」(川土居さん)

 「薄皮たまごパン」のヒットは、中食需要の高まり、節約志向と贅沢(ぜいたく)志向の両立、若年層の取り込みなど、変化の激しい消費者ニーズを的確に捉えた結果といえる。コロナ禍を経て、食生活や働き方の変化が定着しつつある中、こうした新しい生活様式に寄り添う商品開発の重要性はますます高まっているようだ。

(カワブチカズキ)

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