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なぜ、キットカットは日本だけ「40種類」もあるのか? 爆買いされるのに「外国人ウケ」は決して狙わないワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月14日 12時30分

 当時は小売り業界でコンビニ業態が急速に成長した時代でもある。短いサイクルで棚の商品を入れ替え、新鮮な売り場を保つコンビニの戦略に合わせ、キットカットも目新しいフレーバーを出そうということに。

 「1980年代までは、キットカットは量販店で家族向けに大袋を販売していました。しかし、企業として当時から日本の少子高齢化は懸念していました。つまり、日本における“胃袋のサイズと数が激減する”ことは分かっていたんですね。その上でチョコレート菓子メーカーとして生き残ることを模索しているタイミングでした」

 こうしたなか発売した「ストロベリー」が爆発的にヒット。「棚に置いたそばから売れていく」(藤井さん)状況だったという。

 この成功をきっかけに、フレーバー展開の多様化に舵を切ることになる。

 その後、2002年にはご当地限定のキットカット「夕張メロン味」を発売し、2003年には今でも続いている「受験生応援キャンペーン」を開始。2008年ごろからはご当地キットカットを本格的に拡大させていった。

 フレーバーの多様化に加えてもう一つ大きな変化があった。それは「高付加価値化」だ。受験生応援キャンペーンに成功によって、キットカットは「コミュニケーションツール」としての機能を獲得した。ご当地商品についても「地域経済を応援する」という共通するコンセプトがあるという。単なるお菓子という枠を越えて、意味付け・付加価値をつけた商品展開に舵を切っていったという。

●スイス本社の評価は?

 SNSなどで今や「ジャパニーズ・キットカット」とも呼ばれる日本のキットカット。ネスレ日本のこうした取り組みは、スイス本社でどう受け止められているのか。

 「ネスレ日本は『Think globally,Act localy』をしっかりと体現できているとして、『Premiumization(プレミアマイゼーション、高付加価値化)』の成功事例とされています。

 例えば、通常のキットカットは13枚入りで約300円、1枚あたり約23円です。比べてご当地系の商品は10枚入りで約900円。中には6枚入りで500円ほどの商品もあります。プレミアマイゼーションによって、グラムあたりの単価を上げることに成功しています」

●「外国人ウケ」は狙っていない

 高付加価値化を成功させたことに加え、インバウンドからも人気を集めるキットカット。商品開発でも、インバウンドを意識するようになったかと思いきや、そうではないという。

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