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操縦者に感覚が伝わる!? JR西日本の”人型ロボット”が現場で活躍、ベテラン作業員からも好評のワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月15日 6時5分

操縦者に感覚が伝わる!? JR西日本の”人型ロボット”が現場で活躍、ベテラン作業員からも好評のワケ

草津訓練線での実証実験の様子

 JR西日本は7月から、鉄道設備のメンテナンスに「人型ロボット」を搭載した重機を導入した。同社によれば、人型のロボットが国内のインフラ整備(重作業)において導入されたのは初だというが、なぜ新たにこのような重機を採用したのか。鉄道本部電気部電気技術室課長の梅田善和氏に聞いた。

 重機の正式名称は「多機能鉄道重機」。人型重機の社会実装に取り組む、大学発スタートアップ企業の人機一体(滋賀県草津市)と、日本信号(東京都千代田区)との3社共同で開発した。鉄道電気設備工事を施工するJR西日本グループの西日本電気システムが、7月から営業線での鉄道整備メンテナンスにおいて使用している。

 多機能鉄道重機には、道路と線路の両方を走行可能な鉄道工事用の車両に、人に代わって作業を担う「人型ロボット」を搭載しており、最大12メートルの高所で作業を行うことが可能。操縦者は安全な操縦室に座り、操縦かんとVRゴーグルを通してロボット目線で操縦するという仕様だ。当面は架線支持物の塗装や、車両運行の妨げとなるような樹木の伐採に使用するという。

●設備の”ばらつき”に課題

 JR西日本はこれまでにも労働力不足への危機感から、産業用ロボットを搭載した重機などを導入。AIやセンサーなどを活用し、半自動的にメンテナンス作業を行えるようにするための取り組みを実施してきた。しかし、鉄道の設備は地形や設置された年代によってばらつきがあるため、整備作業は人の判断に依存するところが大きい。この点が、自動化を取り入れるにあたって壁となった。

 同社はそんな中で「人が操作するロボット」の工学技術に知見を持つ人機一体に関心を持ち、2020年に共同研究開発を開始した。高所作業の省人化や労災リスク低減のほか、年齢や性別にかかわらず多様な人材が働きやすくすることで、労働力不足の打開を目指したい考えだ。

 人機一体は立命館大学発のスタートアップ企業であり、研究色が強く技術の実装経験には乏しかった。そのため、製品化技術のノウハウを持つ日本信号を2021年に迎え、JR西日本が想定される用途をもとに仕様を定めるという役割分担を行う形で、3社でのプロジェクトがスタートした。

●「人型を目指していたわけではなかった」

 梅田氏によれば、開発する上では「インタラクティブで直観的な操作感」を重視したという。先述した通り、鉄道設備は画一化されていない部分が大きいことから、自動化の技術を取り入れるのは難しい。その一方で、人が一方通行的に操作する重機も、上下・左右などを1つ1つのレバーで調整していくため「目標物に位置を合わせる」といったコントロールは容易ではない。

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