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「1000円カット」も今は昔 再値上げもありそうなQBハウスから考える「デフレビジネス」の限界

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月17日 6時15分

「1000円カット」も今は昔 再値上げもありそうなQBハウスから考える「デフレビジネス」の限界

QBハウスは今どうなっているのか?(出所:QBハウス公式インスタグラム)

 10分1000円のサービス認知を拡大してきた理髪店「QBハウス」。近年は複数回の値上げを行い、現在の価格は1350円である。人手不足に悩む中、待遇を向上させて人員を確保することが値上げの狙いとされる。その結果ベアも実施し、人員確保のめどがついたとしているが「1000円カット」という代名詞が定着している手前、業績への影響はなかったのだろうか。値上げの事情と近年におけるQBハウスの業績について分析していく。

 いわゆる1000円カットが日本に普及したのは1990年代後半以降である。中でも代表格であるQBハウスは1996年に第1号店を東京・神田にオープンし、首都圏の駅ビルや郊外型モールで店舗数を増やしていった。創業者はシャンプーやマッサージなど、カット以外のサービスに時間を取られる従来型の理髪店にいら立ちを覚え、同業態の設立を思い立ったという。

 その後、運営元のキュービーネット(当時)をオリックスが2006年に買収し、ベンチャーキャピタルや投資ファンドへの譲渡を繰り返されながら経営陣が変化し、規模拡大を続け、2018年には東証一部(当時)に上場している。コロナ禍前の2019年6月期末時点で国内のQBハウスは554店舗であり、シンガポールや香港など海外店舗数(他業態含む)は127店舗であった。

●忙しいビジネスマンをターゲットに規模を拡大

 QBハウスの顧客ターゲット層は、時間に追われる「忙しいビジネスマン」であると推察できる。その証拠に、店外には「QBシグナル」と呼ばれる信号機が設置してあり、客は入店前に待ち時間を把握可能だ。「青」ならすぐにカット可能、「黄色」は待ち時間5~10分、「赤」は待ち時間15分以上という具合であり、各店舗の待ち時間は公式Webサイトからも確認できる。

 入店したら客はまず、入口付近の券売機で券を購入し、店員にチケットを渡してカットが始まる。通常の理髪店のようにひげ剃りやスタイリング、マッサージなどのサービスはなく、スタイリストはカットのみを行う。店内にはシャンプー台もなく、カット後は「エアウォッシャー」と呼ばれる機械で、髪を吸い上げてきれいにする。QBハウスによると1人当たりのヘアカット時間は12分15秒であり、最低でも30分以上はかかる通常の理髪店の半分以下だ。

 筆者の知人である経営者はQBハウスが誕生した当初、カット時間よりも待ち時間の短さを魅力に感じ、QBハウスを選ぶようになったという。予約なしでは30分、1時間と待つこともある通常の理髪店に対し、すぐに入れるQBハウスは時間がない人にとって確かに魅力的といえる。

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