「傘の挟まりも検知」“画像解析AI”がホームの安全確認 小田急電鉄が実証実験へ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月19日 17時14分
小田急電鉄、画像解析AIによる安全確認の実証実験を開始
小田急電鉄(東京都新宿区)は8月21日から2025年2月ごろにかけて、小田急線新百合ヶ丘駅(神奈川県川崎市)で、画像解析AI技術を活用した安全確認の実証実験を実施する。列車出発時のホームにおける、安全確認システムの構築を目的としている。
●「列車に近づく乗客」「傘の挟まり」を検知
同社では現在、駅係員と乗務員が列車出発時の安全確認を実施しているが、将来的に予想される働き手不足を視野に、デジタル技術の活用を検討開始。2023年度に、AIソリューションの開発を手掛けるサイバーコア(岩手県盛岡市)と共同で、列車出発時における安全確認システムのアルゴリズム「Universal Anomaly Detection(汎用異常検知)」を開発した。
同アルゴリズムは、ホームの上屋から吊られたカメラの映像をもとに、列車出発時における「黄色い点字ブロックと列車の間に人がいる場合」と、「閉扉後に傘などが挟まっている場合」を自動検知することができるという。今回の実証実験を通して、実際の駅環境での有効性を検証する。
実証駅には、「1日10万人以上が利用する駅」として小田急線新百合ヶ丘駅を選定し、5番ホームに専用カメラを設置。混雑の度合いや、天候・時間帯による明るさなど、環境が変動する中で検証データを蓄積し、検知漏れや誤検知情報をAIに学習させることで、精度の向上と実用化を目指すという。
●「係員30%減」への対応目指す
同社はこれまでにも、AIをはじめとした先端技術の導入による安全性向上の施策に取り組んできた。経堂駅と祖師ヶ谷大蔵駅では、駅構内のカメラ映像を用いてホームからの転落を検知するシステムを運用しているほか、踏切の監視カメラ映像を用いた異常状態検知に関する実証実験を実施している。
同社は、「小田急線の運行に従事する係員が2035年度に30%減少(2020年度比)したとしても、安全・安心な運行を継続できる体制を構築していく」とコメントしている。
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