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テレグラムはなぜ犯罪に使われやすいのか 創業者の考え方に迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月23日 9時5分

 だがテレグラムは、よほどのことがない限り、そういった当局に無条件で協力することはない。以前、日本の警察がテレグラムに容疑者について情報開示を求めようとしたが、全く何もできなかったと聞いたことがある。インターポール(国際刑事警察機構)を介しても、どうにもならないという。

 政府や警察などにも臆せずに自分たちの哲学を貫いているように見えるテレグラムだが、彼らにも非常に厄介なビジネスパートナーがいるという。ライバル企業でもあるアップルやグーグルだ。

 ドューロフ氏いわく、テレグラムのアプリを利用できるプラットフォームはアップルのMacやiPhone、グーグルのAndroidを搭載したスマホなどということもあり、彼らが優位的な立場にいる。

 ドューロフ氏は、この2社はアプリを規制することで思い通りに言論統制ができると指摘する。テレグラムであっても「一部のコンテンツが彼らのルールに違反していると思われる場合は、アプリのストアを通じて配布される全てのアプリが、そのルールに準拠しているかどうかを確認する」という。

●エンジニアはたった30人

 ドューロフ氏はビジネスにおける自由を確保するため、テレグラムを少人数で運営している。「私が唯一のオーナー、ディレクター、プロダクトマネージャーを担って、長い期間にわたって会社の発展に携わってきたことで、これまでも迅速に行動できた」

 採用や人事の役割も自分で担当しているという。「1~2カ月に一度、コンペを主催して、最も優秀な人材を採用している。勝ち残れば、現在30人いるエンジニアの中に入れるかもしれない。優秀な人材を見つけるのに人事部はいらない」

 9億人が使うプラットフォームの開発に、たった30人の精鋭エンジニアだけが関わっているというのだ。さらに広告費もほぼかけていないし、社員数も最小限に絞っている。

 ドューロフ氏は言う。「私は、Twitterの創業者だったドーシーに『うちの会社は20人で経営できている。そんなにたくさんの人は必要ない』と言ったら、彼も同意していた。そして、もし本当に必要な数だけに社員を絞ったら、ウォール街がパニックになるだろうと彼は言っていた。もしそんなことをしたら『この会社は何かおかしな状態にある』と見られてしまうから『私たちは多くの従業員を雇っている。要は、株価を高く保つためには、非効率に運営せざるを得なかった』とね」

 この考え方は、Twitterを買収した起業家、イーロン・マスク氏にも通じるものがある。マスク氏はTwitterを買収後、世界で80%の社員を解雇した。Twitterを運営していくのに必要な人材だけを残したとされるが、この考え方はドューロフ氏やドーシー氏の言っていることに一致する。ヒューマンリソースの扱いは、IT企業の起業家らにとっては大事な要素であることは間違いなさそうだ。

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