ヤンマー、ロボットアニメ本格参入に「勝算」があるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月24日 9時30分
これには複数の要因が考えられる。1980~90年代に幼少期を過ごした世代にとって、少年ジャンプをはじめとした漫画原作アニメが娯楽の中心になっていたことと、それまで娯楽の中心だったスポーツが視聴率低下とともに地上波での放送が減少し、存在感を弱めたことなどが挙げられる。
同時期に、世界で日本アニメのプレゼンスが向上したことも影響していると考えられる。リオデジャネイロ五輪閉会式にて、アニメキャラクターが多数出演する映像や当時の安倍首相がマリオに扮するパフォーマンスが好評を博したように、日本はアニメや漫画の国として世界中からポジティブなイメージを持たれている。このイメージもまた、企業のブランディング戦略としてアニメ活用が進んだ要因だろう。
冒頭で紹介したヤンマーの海外売上高比率は60%であり、当然世界市場における認知度向上、ブランドイメージ向上は必須となる。そこで、同社はアニメ活用に目を付けたのだろう。特にヤンマーはCMではなく、全5話のストーリー性のあるアニメ作品を計画しており、アニメ活用への本気度がうかがえる。
●「アニメとしての成功」も目指すというが……
過去の事例から分かるように、アニメ活用が認知度向上やブランディングに一定程度貢献する可能性はある。だが、同社はそれらに加えて「商業アニメ」としての成功も意図しているという。とはいえアニメ単体で大きな収益を上げることは難しいので、IP活用に活路を見いだすことになるはずだ。活用先としては先に挙げた玩具、そしてゲームやアパレルが収益向上につながる代表例だといえる。ヤンマーはそのうちのいずれか、もしくは全てに展開していくだろう。
懸念点としては、玩具やゲーム、アパレル市場は強豪ひしめく極めて厳しい環境であり、新規IPが簡単に勝てる市場ではないことだ。
同社は既に産業機械のミニチュアや企業ロゴのアパレルを販売しているが、IP活用には至っていない。商業アニメとしての実利を得るならば、新たな市場に身を投じることになる。
●「アニメ×商品企画」における未知の領域を開拓できるか
ヤンマーはどこに勝ち筋を見いだすのだろうか? つまり、オリジナルアニメ『未ル わたしのみらい』に登場するロボットたちがどのような活躍をし、どの市場を開拓するのだろうか?
これまでの「アニメ×商品企画」の事例は主に、玩具メーカーが作り上げてきたものだ。一方で、ヤンマーは産業機械メーカーである。
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