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セブン「宅配ピザ」参入の衝撃 テスト販売から一気に拡大も納得の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月26日 6時15分

 つまり、セブンは「宅配ピザ店」になりたいわけではなく、ピザをきっかけに、さまざまな商品を購入してもらいたいのです。つまり、いかに店内だけでなく店外での購入を増やすかが、宅配ピザ参入の狙いではないでしょうか。

●タイパ志向のユーザーを狙った?

 現在セブンが特に注力している施策が「7NOW」という、店内商品をアプリで購入できる宅配サービスです。いわゆる「ラストワンマイル」に小売業各社が試行錯誤している中、セブンは7NOWによって、従来の店内売り上げ以外の収益源獲得を狙っているのです。7月時点で1万2000店舗で展開しており、2025年2月末までには全国2万店舗超への拡大を目指しています。

 セブンの調査によると7NOWの利用者はタイパ志向の人が38%で最も高くなっています。近くにコンビニがあるのに、そこに行く時間すらもったいないと感じる消費者が増えているのです。今後もタイパ志向が高まることを想定すると、今のうちに顧客を囲い込んでおく必要があります。そのための起爆剤として考えたのがピザというパワーアイテムだったというわけです。

 こうした状況を考慮すると、全国2万店舗でピザを販売するようになれば、ピザだけでも相当な売り上げアップにつながるのではないでしょうか。780円のピザが1日1枚ずつ売れるだけで、年間56億円の売り上げです。単価の高いピザは7NOWの起爆剤だけでなく、セブンにとっては新たな売り上げにつながる商品なのです。

●ピザ市場は伸び盛り

 そもそもピザ市場は今、どうなっているのでしょうか。

 ピザ協議会がまとめた「ピザマーケット推計値」によると、2022年度の市場規模は3278億円と、2年連続で3000億円を超え、過去最高の売り上げでした。コロナ禍による巣ごもり需要や2021年の東京オリンピックなどのスポーツイベントが追い風となり、売り上げが伸びた面も多々あるでしょう。こうした事情を考慮しても、ピザ市場は伸び盛りの市場といえます。

 ピザ宅配チェーン店の店舗数はどうなっているのでしょうか。

 ピザ宅配専門チェーンの店舗数トップ10は2極化しています。大手チェーンが店舗数を伸ばす中、地方に拠点を置くローカルチェーンは店舗数を伸ばしきれずにいるのです。最大手のドミノ・ピザは2033年までに店舗数を2000店舗にすると発表しており、また福岡の食品を中心とした総合流通業のヤマエグループホールディングスが日本ピザハット・コーポレーションを2022年にグループ化したことで、出店を加速させている例もあります。大手がさらに出店を増やし、M&Aも加速するなど、ピザ宅配チェーン企業も変化が起き始めているのです。

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