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目指すは「暖冬でも売れる防寒着」 ワークマン、“売上16%減”克服に秘策

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月28日 6時5分

目指すは「暖冬でも売れる防寒着」 ワークマン、“売上16%減”克服に秘策

ワークマンが「断熱ウェア」のシリーズを新発売(公式Webサイトより引用)

 ワークマンは8月26日から、独自開発の新素材「XShelter」を用いた「断熱ウェア」シリーズの予約販売を開始した。防寒着を強みとしてきたものの、ここ数年の暖冬による売り上げの落ち込みに苦しんできたという同社。新たな技術で「寒くない冬」を攻略したい考えだ。

●合計8アイテムを展開

 XShelterのシリーズから発売するのは、「断熱ベスト」(2900円)、「断熱ジャケット」(3900円)、「断熱パンツ」(2900円)、「断熱防水防寒ジャケット」(5800円)、「断熱AEGISプレミアム防水防寒スーツ」(9800円)、「断熱マフラー」(980円)の6アイテム。

 また、オンラインストアでは、「断熱レディース防水ウォームアウター」(4900円)、「断熱ムービングシュラフ」(9800円)の2アイテムも取り扱う。

●売り上げ16%減→消費者の「悩み」に着目

 同社の土屋哲雄専務によれば、Xshelterシリーズ開発の狙いは、相次ぐ暖冬により低調だった防寒着の売り上げ挽回だ。昨冬(2023年12月~2024年2月)も気温が平年を上回る時期が続き、気象庁は全国的に気温が「かなり」高い冬だったと発表している。土屋専務は、「ワークマンは“厚めの防寒着”が得意中の得意なのですが、売り上げが2年間で16%減っていました」と話す。

 こうした苦境において同社は、「冬場に何を着たらいいか分からない」という消費者の悩みに着目した。冬物の準備をしたい9~10月の段階では、次の冬が暖冬になるか厳冬になるかは分からず、機能性を考慮して商品を購入するのが難しい。また、冬場になってからも、駅まで歩く間の寒さに合わせて着込んだアウターが、25度の電車内では暑くてサウナ状態――という事態は、いわば“あるある”だろう。こうした発想から同社が着手したのが「厳冬でも暖冬でも使えるウェア」の開発だった。

●災害時の使用も想定

 XShelterは、熱伝導を妨げる「断熱シート」と、繊維に光を吸収し蓄える「発熱わた」の二層構造を特徴とする素材。一般住宅の断熱材から着想を得たという。

 製品の開発に当たっては、防災対策の要素も織り込んだ。「そのまま災害対策に役に立つ商品」を目指し、連携協定を結ぶ日本赤十字社看護大学附属災害救護研究所と提携。災害救護の専門家の知見から、寒冷期の災害避難所での使用や、水ぬれや発汗による低体温症の防止というシーンも想定し、断熱性と同時に通気性も確保できる仕様を考案した。これにより「厳冬でも暖冬でも使えるウェア」を実現したという。

 「本当に寒いときは防寒になって、電車に乗ると逆に周りの人の熱を遮断して涼しい商品になりました。うまくいったら1年に1着で済む商品が出るかもしれない。1着で済んだら私たちにとっては悪夢ですが(笑)」(土屋専務)

 同社で新製品を発売する際は、生産数を控えめにするのが常だというが、今回のXShelterシリーズについては初年度だけで20万点を生産する見込みだ。販売総額は10億円を目標に掲げており、土屋専務は「これだけやったのは、ワークマン43年間の歴史で初めて」だと自信を見せる。新素材は同社にとって、冬物アウターの復調に向けた突破口となるか。

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