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富士通、治験支援でドラッグ・ロスを克服 2030年に売上200億円へ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 21時53分

富士通、治験支援でドラッグ・ロスを克服 2030年に売上200億円へ

左から荒木氏、Paradigm Health, Inc.のKent Thoelke CEO、富士通で執行役員 EVPを務める大塚尚子氏、国立がん研究センター東病院の後藤功一副院長、富士通のLife Science事業部 Clinical Trial Solution部長の浜松紀夫氏

 富士通は、クロスインダストリー(異業種連携)で社会課題を解決する事業モデル「fujitsu Uvance」(ユーバンス)のもと、治験のデジタル化に挑む。海外で承認された新薬が日本で使えない「ドラッグ・ロス」問題の解決が狙い。8月26日には製薬企業における治験計画業務を効率化するため、治験特化型LLM(大規模言語モデル)を活用した治験文書の自動作成サービス「Patient-centric Clinical Trials」の提供を開始した。

●治験特化型LLMで業務効率化 具体的な中身は?

 日本では治験の対象患者が複数の病院に分散しているため、症例収集に多くの時間とコストがかかっている。薬価抑制策も影響し、新薬開発のために企画される国際共同治験の対象地域から日本が除外されるケースが増えているという。

 海外で承認されているのに日本では未承認の医薬品は143品目に上り、日本では臨床開発すら未着手な「ドラッグ・ロス」問題が深刻化している。製薬企業が新薬開発に向けて作成する必要がある治験関連の資料は数百に及ぶ。

 同社は、治験特化型LLMで業務効率化を可能にする新オファリング「Patient-centric Clinical Trials」を提供することで、資料作成に要する期間を従来の50%まで削減させる見込みだという。製薬企業と行った実証試験では、各ドキュメントの80%をLLMで自動作成している。

 具体的には、同社の治験に関する豊富な経験と法規制への理解を生かし、製薬企業の既存の文書を法規制に基づいたデータに変換する。さらに、情報の検索や要約、法規制に沿った表記や翻訳作業も可能な治験特化型LLMにより、変換データから治験関連のドキュメントを自動生成できるようにした。 

 また、治験計画業務の効率化と期間短縮を実現させるため、世界最先端の治験プラットフォームを提供する米国のParadigmと戦略的パートナーシップ契約を締結した。パートナーシップを組むことにより、治験領域のデジタル化を加速する狙いがある。

 医療データ利活用基盤「Healthy Living Platform」を通じて、医療機関から収集した診療データやゲノムなどの臨床データを、各種規制に沿った形式にAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を用いて加工しParadigmに提供する。

 Paradigmは、治験プラットフォーム上でデータを分析し、治験の計画や実施に必要なインサイトを提供する。医療機関は、患者が参加できる治験の情報を早期に把握できるため、適切なタイミングで患者に治験の参加を促しやすくなる。これにより困難だった医療データを活用した治験環境の整備が実現する。

 同社は治験計画業務だけでなく治験の実行段階を含めたプロセス全体を包括的に支援することで、2030年度には200億円の売り上げを目指すとしている。

(小松恋、アイティメディア今野大一)

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