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累計1億円集める「たった1人のメーカー」から学ぶ、ファンを仕事仲間にする方法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月29日 8時5分

 一見すると順調に成長してきたように見えるバタフライボード社ですが、「ひとりメーカー」であるが故に相談相手がいないことが大きな悩みでした。

 そこで福島氏が徹底的に向き合ったのが、意見をくれるユーザーとのコミュニケーションです。福島氏のもとには、SNSやメール、Makuakeの応援コメントなど、日々商品に対してユーザーから意見が来ます。時には商品に対して否定的な意見も来る中、福島氏はユーザーと電話やメールで連絡を取ったり、直接会ったりと、とにかく「N1インタビュー(消費者1人に対してさまざまな質問をしていくインタビュー)」を行いました。

 意見をくれるユーザーは、その意見が肯定的であれ否定的であれ、商品に期待してくれているともいえます。デジタルツールが主流となった時代に、手書きできるバタフライボードに対して共感しているからこそ「ここをこうして欲しい」「ここが不満だ」と意見をくれるユーザー。福島氏はこうした意見の中に新商品開発のためのヒントや課題などが眠っていると考え、N1インタビューによって顕在化していないニーズを導き出し、ファンの期待値を超えていく商品を目指しました。

 2022年に発売した「ペーパージャケット」は、ホワイトボードの「消すのが面倒」という意見から生まれた商品です。これは紙のページを特殊マグネットで挟んで固定しており、使い終わったページは紙を破ることなく外せるという商品です。

 バタフライボードのユーザーは手軽に手書きできるという点を重視しているということから、そのメリットを変えずに課題を解決する商品として同商品を開発。Makuakeでは約1600万円の応援購入額を集めました。

●ユーザーとともに開発を続けてつかんだ成功例

 ペーパージャケットは結果として、ユーザー層の拡大にも成功しました。バタフライボードのコアユーザー層は40~50代の男性が中心ですが、ペーパージャケットの最新モデルである「ペーパージャケット・カラー」の購入層では30~50代の女性比率が上がっています。ユーザーの声を聞き、ホワイトボード素材からより親しみのある紙に変更したことと、女性ユーザーの好みに合わせたカラー展開を行ったからだといえるでしょう。

 バタフライボード社の成長には、決して孤独に仕事を進めなかったという背景があります。ファンをパートナーとして捉え、共に製品を育てていく姿勢が評価されたといえるでしょう。

 ビジネスにおいて、真の孤独とは相談相手がいないことではなく、ファンやユーザーとの対話を閉ざしてしまうことなのかもしれません。

●著者プロフィール:高野翔一

株式会社マクアケ PR部コーポレート広報

1984年生まれ。大手食品メーカーの営業やPR会社などを経験。PR会社では大手テーマパークをはじめ、さまざまな領域のPRを担当。2022年に株式会社マクアケへ入社。入社後は、コーポレート・サービス広報として携わりつつ、モノづくりを始めとした事業者の挑戦を後押しする広報を主に担当。

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