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価格転嫁率、44.9%で過去最高に 転嫁率が高まった業種は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月29日 9時22分

価格転嫁率、44.9%で過去最高に 転嫁率が高まった業種は?

価格転嫁の推移

 帝国データバンクは8月28日、企業のコスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」が、7月の調査で過去最高の44.9%に及んだと発表した。国が企業に対して価格転嫁の促進を後押しする中、「実際に価格転嫁できている」と感じている企業はどの程度あるのだろうか。

●「多少なりとも価格転嫁」した企業は8割弱

 自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも価格転嫁できている」とした企業は78.4%と8割近くを占めた。

 内訳をみると、「2割未満」が19.6%、「2割以上5割未満」が18.6%、「5割以上8割未満」が20.2%。「8割以上」は15.5%で、「10割全て転嫁できている」とした企業は4.6%だった。

 「全く価格転嫁できない」とした企業は10.9%で、前回調査(2024年2月)から1.8ポイント減少したものの1割を占めた。「厳しい競争があり、コストを転嫁すれば顧客を失ってしまう」(機械・器具卸売、愛媛県)などの声も上がった。

●価格転嫁率は44.9%

 コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示した「価格転嫁率」は44.9%。コストが100円上昇した場合に販売価格に反映しているのは44.9円で、残りの5割以上は企業が負担している計算となるが、2024年2月の前回調査(40.6円)と比較すると、4.3円分転嫁が進んだ。

 「価格高騰がユーザー目線でも一般化してきたため、価格転嫁が進んでいる」(建設、熊本県)や「原材料価格の高騰に対して、販売先と認識を共有できている場合は、価格転嫁をしやすい」(機械・器具卸売、東京都)といった声が寄せられており、値上げに対する社会全体の受け入れや取引先の理解が進んでいる傾向がうかがえる。

●転嫁率が高い業種は?

 業種別に見ると、「化学品卸売」(65.0%)や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(63.0%)などが6割を超えた。一方、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(19.8%)では2割を下回ったほか、「娯楽サービス」(21.7%)、「金融」(25.8%)、「農・林・水産」(27.3%)などでも3割以下にとどまった。

 改善幅は小さいものの、サプライチェーン全体に関わる「運輸・倉庫」(34.9%)は前回調査を7.1ポイント上回り、3割台に到達。企業からは「物流の2024年問題の後押しもあり、取引先との交渉がスムーズにいくことが多い」(運輸・倉庫、愛知県)といった声が聞かれ、2024年問題への対応が追い風になっている様子がうかがえた。

 一方で、「飲食店」(36.0%)では0.7ポイント、「飲食料品小売」(40.9%)では3.1ポイント、転嫁率が前回調査からそれぞれ後退。「ある程度の値上げは消費者も理解してくれるが、あまりにも価格が上がると来店率が下がると思い、なかなか値上げに踏み切れない」(飲食店、愛媛県)など、客離れを危惧する声が寄せられている。

 調査は7月18~31日に実施。調査対象は全国2万7191社で、有効回答企業数は1万1282社(回答率41.5%)。TDB景気動向調査(2024年7月調査)と合わせて実施した。

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