“急がない”利用者向けの「待っトク便」、楽天ブックスが開始 背景にあった課題は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月30日 6時5分
楽天ブックス、「待っトク便」導入
楽天グループは8月26日、同社が運営するオンライン書店「楽天ブックス」で、急いで荷物を受け取る必要のない利用者を対象とした配送方法「待っトク便」を導入した。いわゆる「物流の2024年問題」に向けた取り組みの一環というが、導入には他の狙いもあるようだ。
待っトク便は、日本郵便が提供する「ゆうメール」を用いた配送方法。従来の方法よりも数日多く時間がかかり、配送日の指定や土日祝日の配送、郵便追跡サービスの利用はできない。代わりに、利用者には1出荷当たり10ポイントの「楽天ポイント」を提供する。
待っトク便について、広報担当者は「2024年問題への対応策であると同時に、配送料の削減も目的」だと話す。適用対象は主に、これまで「ゆうパケット」(250~360円)で発送していた、ポスト投函(とうかん)が可能な商品。これらをゆうメール(一律180円)に置き換えることで、コストを抑える考えだ。
また、オペレーションを円滑化する狙いもある。「特にセールの実施時には、注文が集中することで、倉庫に負担がかかることも課題でした」(広報担当者)。時間に余裕を持たせた配送を導入することで、こうした問題の解決を図る。
トラック運転手不足が深刻化する「物流の2024年問題」への対応策として、EC事業者各社はさまざまな配送方法の導入に取り組む。
ECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOも8月5日から、利用者が通常より余裕のある配送期間を選択できる「ゆっくり配送」の制度を導入。繁忙期に選択した利用者には「ZOZOポイント」を付与するといった取り組みについても、効果を検証していくとしている。
政府は宅配便で「置き配」や「コンビニ受け取り」を選択するなど、再配達の削減に協力した消費者にポイントを付与する事業を10月から始める。原資として1配送当たり最大5円が補助され、楽天グループのほか、AmazonやLINEヤフーなどが順次導入する見込みだ。物流の逼迫(ひっぱく)に対する課題意識が高まる中、同様の取り組みが広がるかが注目される。
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