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海外売上比率7割の「ぺんてる」に聞く、ボールペン「エナージェル」が14億本も売れた秘密

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月30日 7時10分

海外売上比率7割の「ぺんてる」に聞く、ボールペン「エナージェル」が14億本も売れた秘密

ぺんてるのボールペンが海外でも人気

 コロナ禍以降、縮小・停滞が続く国内文房具市場。その一方、輸出額は拡大傾向で、2023年の筆記具の輸出額は2018年比で約115%の約1200億円となった(日本筆記具工業会調べ)。

 国内大手文具メーカーのなかでも、海外売上比率が高いのが2023年度で7割を超える「ぺんてる」(東京都中央区)だ。業界では異例の早さとなる1953年に海外進出し、今では120以上の国と地域に製品を輸出している。

 グローバルにおける主力製品であるボールペン「エナージェル」は、全世界で約14億本を販売(2024年7月末時点)。書き味のなめらかさや速乾性が高い評価を得ているという。近年は、表現性の高さにこだわったペン製品も需要が拡大している。

 グローバル市場での売れ筋商品と日本の文房具が反響を得ている背景を、ぺんてる 海外営業本部 海外営業部 アメリカブロック 部長、兼海外営業企画課 部長の末岡淳史氏に聞いた。

●主力製品はボールペン「エナージェル」

 ぺんてるは1946年に創業、その7年後の1953年に海外進出した。積極的にグローバルのネットワークを広げ、現在は20の販売会社と5工場を拠点に、120以上の国と地域で製品を販売している。

 グローバルにおける主力製品は、2001年に発売された速乾ゲルインキボールペン「エナージェル」だ(日本での希望小売価格253円)。なめらかな書き心地、速乾性、インクの鮮やかさをウリにした商品で、全12色を5段階のボール径(線の太さ)で展開している。

 同製品は、高発色の着色剤を配合したり、潤滑剤を従来のゲルインキの3倍使用したり(ボール径0.5、0.7において)、エナージェルインキの特徴を最大限生かす専用チップを開発したりして、なめらかさや発色の良さを追求している。

 末岡氏いわく「海外では左利きの人が多い」そうで、左利きの人でも手がインクで汚れづらく、筆記体などでサインをする際にスラスラ書けるといった口コミが広まり、徐々に人気が拡大。2024年7月末時点での全世界累計販売本数は約14億本に達している。

 「そもそもゲルインキ(ゲルインク)ボールペンは日本で誕生して、それがグローバルに広がった歴史があります。各メーカーが早期からゲルインキを研究開発しているため世界的に技術力が高く、日系企業の製品が今でも主流だと思います」

 調べてみると、サクラクレパスが1984年に世界で初めて実用化した水性ゲルインキボールペン「ボールサイン」を開発。その後、競合他社からも工夫を凝らしたゲルインキボールペンが発売され、市場が拡大していったようだ。

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