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GACKTと「美食ブランド」でコラボ 根室の水産会社が「3K職場」を変える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月7日 10時30分

 「例えば干物一つにしても、ただ単に干して出荷する製品もあれば、そこから一手間二手間加えて出荷している製品もあります。漁獲量が安定しない中、当社の商品もこうした付加価値をつけて出荷していたわけですが、大量に仕入れるB2Bの世界だと、こういった手の込んだ取り組みを、なかなか評価してくれない。手間なしの一切れ300円の製品に対し、二手間かけた350円の当社の商品を売ろうとしても、『50円高いからいらない』となるわけです」

 生産者として良い品質のものを届けようと機械に設備投資をしたとしても、それがかえって裏目に出てしまう。品質の違いを懸命にプレゼンしても、卸売をする水産業者は、縮小する業界もあってか「値段中心の意思決定が行われてしまう状況が存在する」という。

 「突貫工事をしても、それなりの商品しかできません。僕らはいいものを作ろうとこれまでやってきていたので、だったら生産者の企業価値を高めるため、直接消費者に訴えていこうと考えたわけです」(荒木社長)

 そこで荒木社長はキタウロコ荒木商店の関連企業として2014年3月、オーシャンを設立する。B2Cに特化しているのが特徴で、海産物の通信販売や、根室市のふるさと納税の返礼品を主に取り扱う。

 荒木社長は「B2CはB2Cで課題があった」と振り返る。

 「品質面で優れていたとしても、それが消費者に認知してもらえなければ買ってもらえません。当社はもともとB2Bでやっていたのもあり、根室の水産業者であること以外のブランドがなかったのです。いかに消費者にうまく伝えていくか、発信力を高めていくかが課題でした」

 そこで近年進めているのが、さまざまなコラボ戦略だ。2024年には北海道日本ハムファイターズのオフィシャルスポンサーを務め、5月と8月には協賛試合も開催した。そしてさらに進めた取り組みが、冒頭で紹介したGACKTとコラボした美食ブランド「GACKT極シリーズ」というわけだ。

●GACKT「多くの方に存在を知ってもらうべき」

 「GACKT極シリーズ」は、美食家としても知られるGACKTが実際に試食し、太鼓判を押した商品しか流通に乗せないことをコンセプトにしている。現時点で北海道の農水産物を中心に取り扱っており、自社サイト、楽天市場で販売している。GACKTがブランドアンバサダーを務め、全商品の販売をオーシャンが担う。

 GACKTとの親交は、GACKTのファンである荒木社長がライブに「しんやのほたて」という北見市常呂町のホタテ加工食品を差し入れたことがきっかけだった。そのおいしさに驚いたGACKT側が荒木社長に連絡をし、他の商品も試食してみたいと3度の試食会を実施。冷凍のカニを提供したあとにチルドのカニを出すプレゼン内容にGACKTが舌鼓を打ち、ブランド化の打診をしたところから始まったという。

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