仕事は必要最低限 「静かな退職」に職場はどう向き合えばいいのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 6時35分
静かな退職が本来意味するところは後者の方ですが、仕事をしない給料ドロボーのような前者の意味合いで使われるケースもしばしば目にすることがあります。しかし、後者は必要最低限の仕事はこなしているだけに、給料ドロボーとは言えないはずです。また、仕事一辺倒にならないというスタンスは、いまの時代に即していると言えるかもしれません。
例えば、過労死の問題。長時間労働といった業務の過重な負荷や強い心理的負荷などが原因で働き手が亡くなるという痛ましい事態を避けるためには、仕事中心の生活に偏りすぎて健康を害さないよう注意することが必要です。
家事や育児、介護、趣味など、生活のために大切な時間とうまく調整しながら仕事するワークライフバランスを重視する傾向も強まっています。24時間戦う企業戦士を求めるハッスル・カルチャーへのアンチテーゼだと捉えると、静かな退職は過去に対する反省によってもたらされたスタンスと言えるかもしれません。
●「静かな退職」を4つに分類すると……
必要最低限の仕事はキッチリしているのに、「必要最低限の仕事しかしていない」と非難されるとしたら変な話です。一方で、必要最低限の仕事さえしていないとなると話は違ってきます。給料は労働の対価ですから、給料に見合う労働を提供していなければ契約不履行です。
しかしながら、中には必要最低限の仕事を「している」「していない」の認識について職場側と働き手側とでズレが生じていることがあります。そのズレによって静かな退職に対する受け止め方は変わってきますし、職場と働き手の間で生じるトラブルの原因にもなり得ます。
認識のズレが生じるメカニズムを確認するために、必要最低限の仕事をしているか否かの職場側の認識を縦軸、働き手側の認識を横軸にとって整理してみると、静かな退職をめぐる状態は大きく以下の4タイプに分類されます。
職場側も働き手側も必要最低限の仕事をしていると認識しているのは「円満タイプ」。この場合は双方の認識が一致しているので基本的に問題は生じません。一方、職場の方は最低限の仕事をしていると認識しているものの、働き手側はしていないと認識しているのが「ゆとりタイプ」。この場合、職場側には特段不満は生じないものの、働き手側には余力があるだけに罪悪感を持ったり、仕事が物足りずに「こんなんでいいのかな」と不完全燃焼になったりしがちです。
それに対し、職場側は最低限の仕事さえしていないと認識しているのに働き手側はしていると認識しているのは「疑似サボりタイプ」。職場側からするとサボっていると見えるので不満ですし、働き手は自分なりにきちんと仕事はしていると思っているので職場が認めてくれないことに不満を覚えます。
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