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スーパーの“隠したい扉”に動画を流してみた、店の売り上げはどうなった?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月25日 6時15分

 とはいっても、もちろん簡単に完成したわけではない。最も時間を要した……いや、要しているのは耐久テストである。お客に「完成しました! 使っていただけませんか?」とアピールしても、先方からはこうした言葉が返ってくるはずである。「これって壊れないの?」「本当に安全なの?」と。

 「サイネージスイングドアも耐久性がある」ことを分かってもらうために、同社は耐久テストを何度も何度も繰り返す。専用の機械を設置して、台車を何度もぶつける。その数は、100回や200回ではない。1万回や2万回でもない。50万回である。気が遠くなる数字であるが、24時間ぶっ通しでテストを繰り返して、開始から6カ月が過ぎたころにようやく終了した。

 結果は「問題なし」。その後、実店舗で試験的に2年ほど使ってもらう。搬入業者もお店のスタッフも台車を使って、1日に何度も「ばーん」を繰り返す。結果、ここでも「問題なし」。同社はそれでも満足せずに、いまでも耐久テストを続けているそうだ。

●開くだけではなく、“売る”扉に

 サイネージスイングドアが完成して、次に何を行ったのか。ディスプレイに動画を流して、お客はその商品を購入するかどうかの実験である。

 神奈川、千葉、大阪、三重のスーパー4店舗で、1カ月ほど効果を検証した(期間は2022年12月から2023年2月にかけて)。鍋つゆのレシピ動画を流したところ「関連商品」の売り上げは、前年同時期と比較して、全店で増加したのだ。PI値(レジ通過客1000人当たりの購買指数)が最も伸びたのはB店で93%、次いでD店が60%、A店とC店はいずれも12%という結果に。

 サイネージスイングドアが売り上げを大きく“スイング”させたわけだが、残念ながらデータの母数が少ない。また、現状の課題は「導入店舗の数」である。これまでになかった製品であること、製品の特性上なかなか交換しないこと。こうした背景があって、導入は10台ほどにとどまっている。

 じっくりじっくり売っていく作戦のようだが、この市場でトップを独走している会社にとって、この数字はちょっぴり寂しい。というわけで「壊れないこと」「安全であること」をアピールして、導入台数を増やしていく構えである。

 それにしてもスイングドアというのは見せるドアではなく、これまではどちらかというと“見られたくないドア”だった。しかし、新しいドアを設置すれば、一人でも多くの人に見てもらうドアに生まれ変わらなければいけない。

 「あれ、なんだろう。このドアで動画が流れている。ちょっと買ってみようか」――。こうしたお客が増えていけば、未来の“扉”が開くかもしれない。

(土肥義則)

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