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約12万円の「PS5 Pro」 ゲーム体験は今後"高級化"していくのか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月26日 8時20分

 一方、市場の大部分を占めるライト層全てが上記の性能を要求するわけではない。また、「ユーザー人口の多いゲーム=高スペックを要求する」とも限らない。一般の民家に収まるディスプレイサイズではフルHDと4Kの差異を感じられたとしても、4Kから8Kへの変化に劇的な差異を感じることは難しいとされる。

 つまり、解像度という観点では4Kが家庭用ゲームハードにおいて実質頭打ちといえる。画像処理コストに大きな影響を及ぼすこの要素が固定されれば、今後の技術進歩で価格が下がることも期待できる。

マルチプラットフォームタイトルの増加・普及

 昨今のゲームはマルチプラットフォーム(同じゲームを異なるハードウェアで遊べるようにすること)が主流となりつつある。

 2010年代以降増加したのが、「PlayStationシリーズ+PC・スマートフォン」という組み合わせだ。特に米国・中国系ゲームはグローバル展開を前提としており、国によって普及度合いに差があるハードウェアに依存しないためにもこの手法を取っている。

 そのため、ユーザーは同じタイトルのゲームを個々人が調達可能なスペックのハードウェアで楽しめるようになった。

 これにより、持っているゲーム機で遊べるソフトの中から選ぶ環境から、ゲームで得たい体験によってゲーム機を選ぶようになりつつある。これはどういうことかというと、例えばスマートフォンを入口に目的のゲームを楽しむようになり、スマートフォンで満足する層はそのままに、もっと高品質なゲーム体験を楽しみたい層はPlayStationシリーズやPCへ移行するというわけだ。

●今後のゲーム体験はどうなるのか?

 ゲーム体験の高級化が進むという見方は間違いではないが正解でもない。高級なゲーム体験はあくまで選択肢の一つとして加わるのであって、個々人がより適した選択をできるようになるということだ。

 ゲームのライト層は、持っているスマートフォンや家庭要ゲーム機を選択し、より高レベルのゲーム体験を求めるコア層がPS5 ProやゲーミングPCのような高価格帯ハードを選択するようになる。

 既に日本でも30万円以上のゲーミングPCを選択する「より高レベルの体験を求める層」が増えつつある。ここにゲームに特化した場合のコストパフォーマンスが高いPS5 Proが加わることで、コア層の選択肢が増え、高レベルの体験を得られやすくなる。

 ゲームの「入口」機能を担い、ゲーム人口拡大に多大な影響を及ぼしてきた任天堂も、今年度中に次世代機を発表する予定としている。ゲームは娯楽として一般化した一方、ライト層からコア層までニーズは多様化している。ゲーム機メーカーはそんな多様化した消費者に適切な選択肢を提供できるかが、成長のカギを握るのではないだろうか。

●著者プロフィール:滑 健作(なめら・けんさく)

 株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。

 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。

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