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「あなたに知られてなくて残念です」 鴻池組が都内に“自虐広告”を出したワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 10時0分

「あなたに知られてなくて残念です」 鴻池組が都内に“自虐広告”を出したワケ

鴻池組が掲出中の広告(銀座駅にて編集部撮影)

●「おもしろ広告」大解剖

今話題を集めている"一風変わった"、面白い仕掛けのある広告を取材し、狙いやこだわり、アイデアの原点を探る。

 「残念です。」――。都内の駅構内に、思わず足を止めてしまうような広告が出現している。創業150年を超える老舗ゼネコン、鴻池組(大阪市)が仕掛けたキャンペーンだ。

 同社はこの広告を、日本橋、銀座、大手町といった東京メトロの駅構内の52カ所で掲出中。東京駅八重洲口のサイネージでも、6月中旬から隔月で掲出している。

 一般的に企業広告といえば、自社の強みをアピールするもの。それなのになぜ「残念」というネガティブな言葉を前面に出しているのだろうか。同社の広報担当者にその狙いを聞いた。

●「首都圏での知名度」が課題に

――広告のターゲット層や狙いは?

 ターゲットは広く一般の方です。広告の狙いについては、鴻池組の知名度・認知度の低さに対する課題意識が背景にあります。特に首都圏、中でも東京における認知度の低さには、危機感を抱いています。

――掲出場所に東京メトロ主要駅、および東京駅を選んだ理由を教えてください。

 鴻池組は1915年(大正4年)、東京で拠点を開設して以来、2025年で110周年を迎えます。関東大震災におけるさまざまな復興工事をはじめ、首都圏で暮らしている方ならおそらくご存じの工事も多数手掛けてきました。それにもかかわらず、「知られていなくて残念だ」と感じる場面が少なくありません。

 その残念な現実を受けとめた上で、鴻池組についてより広く深く伝えていくにはどうすればいいのか。社内で検討を重ね、東京で多くの一般の方の目に触れる媒体として、東京メトロや東京駅に出稿することにしました。

●社員も「よくぞ踏み込んだ」

――なぜ「残念です」というコピーを採用したのでしょうか?

 鴻池組は1871年(明治4年)に創業し、150年以上にわたって建設・土木業を営んできた総合建設業、いわゆるゼネコンです。社名をご存じの方は一定数おられると思います。しかし、鴻池組の強み、技術や成果などを、広く社会のみなさまへ伝えることができているのか。

 その問いから出発して社内で議論を重ね、課題意識を共有した上で、「知られてなくて残念です。」というメインコピーへたどりつきました。

――広告を見た人からは、どのような反響がありましたか。

 従業員からは、「よくぞ踏み込んだ」「東京で働いている同級生たちから『広告見た』と続々連絡がきた」など、さまざまなコメントをもらっています。

 広告内の二次元コードやNFC(近距離無線通信)機能を通して遷移できる特設サイト、弊社のコーポレートサイトでも、アクセス数の増加傾向が見られました。

 また、鴻池組が施工する工事現場の仮囲いでも、「メインビジュアルを掲示したい」「映像サイネージで放映したい」といった相談が来ていますので、今後は工事現場でご覧いただく機会があるかもしれません。

 一般の方は、「鴻池組、知っているよ」「残念ですって、どこの広告なんだ?」など、インターネットでさまざまなご感想を投稿してくださっています。お忙しい移動中に、駅のどこかで目にとめ、「残念です。」を撮影するためにわざわざ立ち止まってくださったのでしょう。その光景を想像すると感激もひとしおです。

 本広告を目にした方が、鴻池組について話題にしたり検索したりしていただければ大変うれしく思っています。

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